( 283921 )  2025/04/18 05:33:16  
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パチンコホールの店舗減少が続いている(イメージ) 

 

 年々その数が減少しているパチンコホール。警察庁が4月に公表した統計資料『令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について』によると、2024年(令和6年)末時点における全国のパチンコホール数は6706店舗で、前年の7083店舗から377店舗減少した。全国でおよそ1万7000店舗が営業していた1995年のピーク時から比べると、半分以下にまで減少している。 

 

 さらに同資料によると、2024年末におけるパチンコとパチスロの併設店は6238店舗、パチスロ専門店は468店舗。パチスロ専門店は前年から25店舗増えており、パチスロ人気の高まりを感じさせる数字となっている。パチンコ・パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。 

 

「警察庁の資料を見ると、パチスロ専門店の数は2021年が768店舗、2022年が611店舗、2023年は443店舗と減少しています。これはコロナ禍とともに、5号機と呼ばれるパチスロ機の完全撤去の影響があります。5号機については射幸性の高さが問題となり、2018年に登場した射幸性が抑えられた6号機へと移行していくわけですが、その過渡期でパチスロ専門店が減少していきます。そして、2022年の前半で5号機が完全にホールから消え、このタイミングで営業をやめるパチスロ専門店も少なくありませんでした。 

 

 そうしたなか2022年11月に、メダルを使わないスマートパチスロ(スマスロ)が登場します。スマスロはメダル機の6号機よりも出玉性能が高く、5号機時代に匹敵する機種も多かったため、徐々に人気を獲得。その結果、パチスロ専門店が再び増加しました」 

 

 同資料では、全国のホールにおけるパチンコ、パチスロの総設置台数も公表。2024年末でパチンコ機の設置台数は196万9913台で前年から10万7727台減、一方の2024年のパチスロ機の設置台数は135万5839台で前年から8373台増加している。 

 

「パチスロ機の設置台数が増えているといっても、パチンコ機の減少数をカバーするには到底及ばない数です。状況としては、パチンコが大きく低迷しているなか、パチスロがどうにか現状を維持しているというイメージ。ただ、現在のユーザーはパチンコよりもパチスロの支持が高いのは事実で、パチンコの設置台数を減らし、パチスロを増やすホールも多くなっています。今後もその傾向は強くなっていくのではないでしょうか」(藤井氏) 

 

 

 さらに今回の資料では、1ホールあたりの設置台数の推移も公表。2020年に1ホールあたり443台の設置だったのが、2021年は451台、2022年は465台、2023年は483台、2024年は496台と徐々に上昇している。 

 

 また、設置台数別のホール店舗数の推移も公表された。その一部を以下に抜粋する。 

 

●設置台数101~300台のホールの数 

2020年:2733店舗 

2021年:2613店舗 

2022年:1987店舗 

2023年:1630店舗 

2024年:1419店舗 

 

●設置台数301~500台のホールの数 

2020年:3213店舗 

2021年:2881店舗 

2022年:2755店舗 

2023年:2457店舗 

2024年:2294店舗 

 

●設置台数501~1000台のホールの数 

2020年:2518店舗 

2021年:2364店舗 

2022年:2331店舗 

2023年:2346店舗 

2024年:2338店舗 

 

●設置台数1001台以上のホールの数 

2020年:346店舗 

2021年:316店舗 

2022年:354店舗 

2023年:375店舗 

2024年:399店舗 

 

 2024年の設置台数101~300台設置の小規模ホールの数は、2020年に比べて半分近くに減少している一方で、501~1000台設置の大規模ホールはほぼ現状維持。そして1001台以上設置のより規模が大きいホールは、2020年から2021年にかけて減少したものの、翌年からは増加傾向にある。つまり、小規模ホールが減少し、大規模ホールは生き残っているということだ。 

 

 大規模ホールの中には、資本力のある大手チェーンが運営する店舗が多い。大手チェーンであれば、より立地のいい場所への出店も可能で、かつ集客のためのイベントを開催するなど、宣伝広告にもお金をかけられる。特に最近はネット上で情報をキャッチするユーザーが多く、SNSに注力したり、YouTubeチャンネルで多彩な動画コンテンツを提供したりできる、大手チェーンの店舗が有利になりやすい傾向が強まっているのだ。 

 

「スマスロやスマパチ(スマートパチンコ。玉を触ることなく遊技するパチンコ機)が登場し、それらを設置するには設備投資も必要となります。小規模のホールではそういった費用を捻出するのが難しく、泣く泣く撤退するケースもあります。さらに昨今はパチンコ機、パチスロ機の価格が高騰しており、新台の導入にはかなりの費用が必要になる。新台入れ替えは集客のための大きな要素ですから、その費用がないと稼働を上げることもできない。そういった部分でもやはり大手チェーンが運営する大規模なホールが有利になっている現実があります」(藤井氏) 

 

 

 このような状況の中、最近のパチンコ・パチスロ業界で増えているのが、パチンコホールのM&Aだ。小規模なホールが大手チェーンに吸収・事業継承されるケースや、地方で展開する数店舗規模のチェーンが全国規模の大手チェーンに買収されるケースも多い。すでに出店済みのエリアの競合店を買収することで、そのエリアにおける寡占状態を作り出す大手チェーンもある。 

 

「それまで閑古鳥が鳴くようなホールだったのに、大手に買収され屋号を変えて営業を始めた途端、一気に客が増えるというケースも少なくない。やはり大手チェーンの方がユーザーに出玉で還元することもできますし、稼動率が高い人気機種を多数確保することもできる。 

 

 また、パチンコホールの場合、お客さんが多いホールの方が活気があって“出ている感”が強まるので、ネット上でもポジティブな口コミが増え、余計にお客さんが集まりやすくなるという事情もあります。ユーザーとしても、できることなら勝って帰りたいわけで、そのためにネットなどでいろいろな情報を調べている。ネットがない時代は、町の小さなパチンコホールに常連が集まって適度に遊んでいるという光景も日常的でしたが、ネットが普及してホール選びに関する情報が回りやすくなった今は、どうしても“強いホール”にお客さんが集中しがちです」(藤井氏) 

 

 ホールの店舗数自体の減少は止まらないが、一部の大手チェーンはどんどん拡大していく今のパチンコ・パチスロ業界。中小規模のホールにとっては厳しい時代だが、当分はこの傾向が続きそうだ。 

 

 そうした傾向の中で大手にM&Aされた小規模ホールには、目に見える変化が出てくるという。続編記事《「こんな光景見たことない!」大手に買収された小規模パチンコホールの変化に戸惑うユーザー 「来店イベント開催で朝から大行列」の驚き、「快適だったホールが軍団の餌食に」の嘆きも》では、なじみのホールが大規模チェーンに変わったことに対するパチンコ・パチスロユーザーの生の声を紹介している。 

 

 

 
 

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