( 285091 )  2025/04/22 06:55:30  
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解体か保存かで協議が行われている万博会場の大屋根リング=大阪市此花区(本社ヘリから) 

 

13日に開幕した2025年大阪・関西万博のシンボルとなっている大屋根リングの閉幕後の活用法について、政界などから解体せずに残す案を推す声が強まる中、関西経済連合会の松本正義会長が産経新聞の取材に応じ、「一部の関係者だけでなく、官民一体で公明正大に議論して決めるべきだ」と牽制(けんせい)した。活用方針は日本国際博覧会協会が6月にも決定する予定だが、解体せずに残すことになれば追加の費用負担が発生する可能性が高く、関西財界からは懸念の声が出ている。 

 

10月の万博閉幕後の大屋根の活用を巡っては、会場の他の建物と同様に27年3月ごろまでに解体し、建材などで一部を再利用するとされてきた。 

 

だが、大阪府の吉村洋文知事や自民党の松川るい参院議員らが閉幕後も残したいとの考えを表明。設計した建築家の藤本壮介氏も「多くの来場者が笑顔で歩いているのを見ると、残せるものならぜひ残せたらいいと思う」と語り、協会は改修や維持の費用が課題となるとしながらも残すことに期待感を表している。 

 

ただ万博の会場建設費は2度の増額で2350億円となったが、その要因として当初の計画になかった大屋根の設置費約350億円が大きかった。松本氏は過去の会見で、設置について「経済界がイエスといったか記憶がない」「突然、建築の専門家が入ってきてそうなった」と話すなど、不快感を示していた。 

 

会場建設費は国、大阪府市、経済界で3分の1ずつを負担。企業からの資金集めに尽力した松本氏は「経済界は責任をまともに受け入れ、約束を守った」とする。それだけに、経済界にも追加の負担が発生する可能性が高い大屋根を残す案には神経をとがらせる。 

 

4月に入って、協会と国、府市、経済界による大屋根活用法の協議が非公開で始まっており、6月をめどに協会が結論を出す予定。松本氏は「レガシー(遺産)として何を残すのか、どう発展させるのか、官民一体の『ワン関西』で議論しないといけない」と強調し、安易に結論が決まることに警鐘を鳴らした。 

 

大屋根は木材約2万7千立方メートルを使った1周約2キロ、高さ最大約20メートルの建築で、海外パビリオンなどを取り囲むように立つ。3月に「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定された。解体する場合の費用は建築費に織り込み済とされるが、残す場合は補修費や移転費などが追加で発生することが見込まれる。(井上浩平) 

 

 

 
 

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