( 285101 ) 2025/04/22 07:05:55 0 00 森永康平さん
今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。
「闘う経済評論家」として世の中の歪に注目する息子の康平が、父・卓郎の「最後の問題提起」を真っ向から受け止め、私たちのこれからの人生に必要な「解」を紡いでいくーー。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第63回
経済アナリストとして日々マクロ経済のデータを見るようになって、つくづく思ったことがある。
それは、「政治家で日本のことを真面目に考えている人間はほとんどいないのではないか」ということだ。日本経済が良くなる政策を体を張って通そうという政治家はほとんどいない。結局、利権や選挙のことしか頭にないのだろう。
ただ、そんな政治家を選んだのは我々国民だ。「政治が悪い」のは、結局のところ国民に責任がある。
そもそも、政治の誤りのツケを払うのは国民だ。エネルギーの問題についても、反対に屈せず、きちんと向き合っていかなければ、いずれ痛い目にあうのは日本国民なのだ。
では、なぜまともな政治家が選ばれないのか。結論を言うと、「平和ボケ」のせいではないかと思う。
過去数十年間にわたって、日本はずっと平和だった。誰が首相になろうとも、飢え死にすることもなければ、戦争に巻き込まれることもなかった。
そんなぬるま湯の状態が続いた結果、日本から「選挙で正しい政治家を選ばなければ、自分の命の危険に直結する」という緊張感が失われてしまった。
一方、政治家のほうでも、国民の期待に応えるよりも、利権や選挙、党利党略を優先してきたので、政治への信頼はすっかり失われてしまっている。
かく言う私も、もし子どもがいなければ、政治に関心を持たず、「国がどうなろうと自分には関係ない」と考えていたかもしれない。実際に子どもが生まれるまでは、日本に何かあれば海外で暮らせばいいと考えていた。
しかし、子どもが生まれてからは、次世代のために、夢も希望もない、政治家も官僚も腐っている国を、変えなければならない。そう思うようになった。もちろん、子どもを持つかどうかは個人の自由だが、私自身はそれをきっかけに政治に関心を持つようになったということだ。
いずれにしても、日本人が政治のことを真剣に考えるようになれば、日本はもっと良い方向にいくだろう。
森永 卓郎、森永 康平
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