( 286721 ) 2025/04/28 05:36:09 0 00 740円になった吉野家の『牛丼』大盛
大手牛丼チェーン・吉野家は、4月10日より『牛丼(大盛)』の価格を696円(店内飲食)から740円に値上げした。原材料費や物流費などの高騰が続く中、商品の品質維持に値上げが避けられない状態だが、かつての“牛丼=安い”というイメージが薄れていくことに残念な思いを抱える消費者も少なくないだろう。そうした消費者を企業側が意識しないはずはない。外食チェーンに詳しいライターの小浦大生氏が「値上げの裏にある思惑」を指摘する。
「昨今は米の価格も上昇し、和食系外食チェーンにとってかなり厳しい状況です。今回の吉野家の値上げを見ると牛丼の小盛(465円)と並盛(498円)は価格据え置きとなっており、どうにか“ワンコイン”メニューを死守した形。消費者心理としても牛丼がワンコインを超えると割高感が否めなくなるので、並盛を限界までワンコインに保つため、すでにワンコインを超えていた大盛が値上げされたと捉えることもできそうです」
ただし吉野家のライバルチェーンでの“大盛”の価格はというと、松屋の『牛めし』大盛が630円、すき家の『牛丼』大盛が680円で、吉野家と松屋とでは110円の差があることになる。ボリュームに対するコストパフォーマンスを求めれば、松屋の『牛めし』大盛のほうが魅力的な選択肢と映る消費者もいるだろう。
ちなみに各チェーンの公式サイトで公表されている“大盛り”のカロリーは以下の通りだ。
吉野家『牛丼』大盛(740円):823kcal 松屋『牛めし』大盛(630円):933kal すき家『牛丼』大盛(680円):967kcal
「吉野家の『牛丼』大盛は値段がもっとも高いのに、カロリーはもっとも少ない。ボリューム感やカロリーを軸にした“コスパ”で考えると、吉野家より松屋やすき家のほうがメリットが大きいと言えそうです。とはいえ、そもそも吉野家の『牛丼』大盛は充分なボリューム感で、740円でも高いとは言い切れないと思います」(小浦氏・以下同)
では、他の和食系外食チェーンで、吉野家の『牛丼』大盛と近い価格帯のメニューを見てみることにする。牛丼以外の“丼もの”では、たとえば天丼チェーンのてんやでは、定番の『天丼』が620円、『海老といかの上天丼』が770円だ。カツ丼チェーンのかつやは『カツ丼(梅)』が590円で『カツ丼(竹)』が760円となっている。
「天丼やカツ丼が800円以下というのは、今やかなり安いほう。ただ、ボリューム感は牛丼チェーンと比べ物になりません。そう考えると、吉野家は値上げをしてもなお、牛丼コスパの良さは保たれているとも言えるかなと思います」
定食チェーンに目を向けると、やよい軒では定番の『しょうが焼定食』が800円。大戸屋は『大戸屋ランチ』が960円(都内の店舗の価格、以下同)、『香味唐揚げ』が960円、『もろみチキンの炭火焼き』が990円などとなっているが、800円台以下の定食メニューはない。そのほか、関東を中心に展開する中華料理チェーン・日高屋では『野菜炒め定食』が700円、すかいらーくグループの唐揚げチェーン・から好しでは『から好し定食【3個】』が650円、『から好し定食【4個】』が760円で提供されている。
「一般的に定食のメインとなる価格帯は900円から1200円ほど。800円台の定食でもご飯のおかわりが自由であるやよい軒は、コスパ的にも大きなアドバンテージがあります。ただ、吉野家も定食メニューはご飯のおかわりが自由で、『牛皿定食』なら789円。吉野家でご飯をよりたくさん食べたいのであれば、『牛丼』大盛ではなく『牛皿定食』でご飯のおかわりをするのも、賢い手だと言えるかもしれません」
また、多くの外食チェーンでは、もっとも安い定番メニューの価格帯は600円台から700円台。そう考えると、今回価格据え置きになった吉野家の『牛丼』並盛の存在感が大きくなっていくのかもしれない。値上げが避けられない中で、利用者もより賢い選択をしていくしかない。
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