( 286746 ) 2025/04/28 06:04:49 0 00 中国・北京開催の「オートチャイナ2024」で展示されたCATLのEVバッテリー「Qilin(麒麟)」(Getty Images)
テスラの高速充電スタンド「スーパーチャージャー」を「速っ!」と感じているなら、中国発の最新EV(電気自動車)バッテリーには度肝を抜かれるだろう。
世界トップシェアを誇るEVバッテリーメーカーCATL(寧徳時代新能源科技)が今年春、上海モーターショー2025で発表したバッテリーは、わずか5分の充電で、テスラはもちろん強豪メーカーBYD(比亜迪)の最新モデルよりも長い距離を走行できる。
■テスラやBYDを大きく上回る、CATのバッテリー性能
現在、中国勢CATLとBYDはどちらも最短5分で充電できるEVバッテリーを開発済みと発表しているが、同モーターショーではCATLが開発競争の王者たる実力を見せつけた。CATLが放ったバッテリー「ShenXing(神行)」の5分充電による走行距離は、驚異的と言える約520km。この距離はBYD製品の約400kmよりも約120km長い。なお、テスラの充電スタンド「スーパーチャージャー」は充電に15分かかり、走行距離は275kmと、その差は歴然だ。
CATLの最高技術責任者、高煥は上海で開催した自社イベント「Tech Day」で「私たちは再び、性能の限界を超える挑戦をしました」と技術革新への思いを語った。
「私たちの目標はスーパーチャージャーバッテリーShenXingをEVにおける標準装備にし、より便利で快適な運転体験をユーザーに提供することです」
なお、この記録破りの新製品ShenXingは、BYDが最新バッテリーを披露して話題を呼んだわずか1カ月後に発表された。この目まぐるしい変化からも、中国でEVとバッテリー開発がいかに速い速度で進んでいるかがわかる。
■ShenXingの最大走行距離は805km
最大走行距離約800kmのフルバッテリー容量を備えた第2世代モデルのShenXingは、リチウムバッテリーや鉛蓄電池より安全でコスパに優れた代替品となるナトリウムイオン電池「Naxtra(鈉新)」と同時に発表された。
テスラ、フォード、BMW、フォルクスワーゲンなどにEVバッテリーを供給しているCATLは、過去8年間、世界におけるトップサプライヤーとして君臨している。EV関連情報サイトcnevpostによると、市場シェアは38%と圧倒的で、続く2位のBYDは17.2%だ。
では、CATL製品の搭載実績はどれくらいだろう。CATLによると、同社製のバッテリーは現在、全世界で約1700万台車に搭載されており(2024年末時点)、これは実にEV3台中1台にあたる。世界的なプレゼンス拡大を目指し、中国・深圳ですでに上場を果たしているこのバッテリー大手は今年2月、香港証券取引所でも上場を申請した。
■CATLのEVバッテリーは極寒でも高性能
EVバッテリーは寒さの影響を受けやすいものだが、CATLいわく、ShenXingは気温-10℃という極寒の環境でも優れた性能を発揮し、わずか15分でSOC5%から80%まで急速充電する。
トランプ米大統領による関税措置の影響について、CATLの広報担当者は国営メディア中国証券報に、中国のバッテリーメーカーにおける米国への輸出量はごくわずかであり、大きな影響を受けることはないと語った。
ここまで書いて、最後にふと気になったのが米国だ──テスラやBYDを圧倒するこの超高速充電技術を、米国の人々は果たしていつ享受できるのだろう。
Peter Lyon
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