( 287646 )  2025/05/02 03:22:56  
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ロマンス詐欺被害を防ぎ、愛知県警から感謝状を受け取った篠田一瑳さん(右)=名古屋市瑞穂区で2025年4月30日午後3時53分、丘絢太撮影 

 

 SNS(交流サイト)などで出会った相手の恋心を悪用し、金銭をだまし取る「国際ロマンス詐欺」。愛知県内でまた一人、女性がターゲットになった。被害に遭う寸前だった女性を、男子中学生が救った。 

 

 「テルアキさんですか?」。4月13日正午ごろ、名古屋市緑区の市立中3年、篠田一瑳さん(14)は、50代の見知らぬ女性にそう声をかけられた。来春受験する志望高校の見学に行くため、瑞穂区内の地下鉄駅で下車したところだった。 

 

 とっさに「違います」と答え、立ち去ろうとしたが、落ち着かない様子の女性が気になった。 

 

 「どうかしましたか?」と尋ねると、女性はスマートフォンの画面を見せてきた。女性は「俳優」を名乗る男性から数万円分のアマゾンギフトカードを購入するよう頼まれ、買える場所を探しているところだった。聞けば、その男性とは面識はないという。 

 

 篠田さんはピンときた。「それは詐欺かもしれない。一緒に警察に行きましょう」と伝えたが、女性は少し困った様子を見せ、ためらった。 

 

 それでも篠田さんは引き下がらなかった。「知らない人からのお願いで高額のギフトカードを購入することは絶対に危ないですよ」と約10分ほど説得。根負けした女性は篠田さんの忠告に従った。 

 

 一緒に最寄りの愛知県警瑞穂署に行くと、案の定、詐欺と判明した。 

 

 女性は驚いた様子を見せた一方で、ほっとした表情を浮かべた。何度も篠田さんに感謝を伝え、帰って行ったという。 

 

 4月末、瑞穂署は篠田さんに感謝状を贈った。浅田大一署長は「知らない人に声をかけることは大人でも簡単にできない。だまされている人を説得し、被害を未然に防ぐことは素晴らしい行動だった」とたたえた。 

 

 篠田さんは「誰かの役に立ててうれしかった。これからも積極的に誰かの助けになりたい」と笑顔を見せた。 

 

 愛知県内では1~3月までにSNS型投資・ロマンス詐欺被害が計199件(前年同期比3件増)確認され、被害総額は計25億2572万円(同5億7892万円増)に上っている。県警は「知らない人からギフトカード購入を持ちかけられたら詐欺の可能性が高い。すぐに警察に相談してほしい」と注意を呼び掛けている。【丘絢太】 

 

 

 
 

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