( 287784 )  2025/05/02 06:03:54  
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日本の経済は、物価高や上昇しない給与に直面している状況であり、現在の暮らしの現状を考える。

2025年2月の家計調査によると、勤労者世帯の平均実収入は57万1,993円で、前年同月比で実質2.3%減少している。

消費支出は平均29万511円で、前年同月比で実質0.5%減少している。

収入に対する支出は約57万円に対して約30万円で、非消費支出(社会保険料・税金など)が9万7,648円もあり、特に社会保険料が高額支出となっている。

社会保険料は増加傾向で、手取り収入を圧迫していることが指摘されている。

政府は少子高齢化対策として育児支援、働き方改革、経済支援などを強化しており、経済政策では賃上げや物価対策が重要視されている。

日本銀行は政策金利を0.5%に据え置き、経済成長率予測を下方修正した。

将来にわたる効果を見守りつつ、現実的で持続可能な政策の実現が求められている。

(要約)

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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

物価高と上がらない給与に直面する現在。日本経済の回復はのぞめるのでしょうか。ここでは日本人の暮らしの現状について、総務省『家計調査(二人以上の世帯)2025年(令和6年)2月分』などをもとに見ていきましょう。 

 

総務省『家計調査(二人以上の世帯)2025年(令和6年)2月分』によると、勤労者世帯の実収入は1世帯あたり平均「57万1,993円」。前年同月比で実質2.3%減少しています。一方の消費支出の平均は「29万511円」。前年同月比で実質0.5%の減少になりました。 

 

勤労者世帯の収入について詳しく見ていきましょう。「57万1,993円」のうち、世帯主の収入が「38万5,077円」、配偶者の収入が「8万5,882円」となっています(そのほか定期収入や他の世帯員収入についての項もありますが、ここでは割愛します)。 

 

消費支出の内訳を見てみると、食費が「8万4,388円」ともっとも大きなウエイトを占めており、交通・通信費が「4万3,296円」、光熱・水道が「3万1,877円」、教養娯楽が「2万8,254円」と続きます。 

 

約57万円の収入に、約30万円の支出。この数字だけで言えば、月27万円程度は自由に使えるようにみえますが、ここから「非消費支出」(社会保険料・税金など)が差し引かれます。 

 

最新の非消費支出、勤労者世帯については「9万7,648円」とかなりの金額です。内訳を見てみると、勤労所得税「1万5,959円」、個人住民税「1万9,124円」、他の税「4,730円」、そして社会保険料「5万7,768円」。全体を見れば、社会保険料が、食費に次ぐ高額支出であることがわかります。 

 

社会保険料に関しては、じわりじわりと負担が増え続けていることが明らかになっています。将来の年金のため、万が一健康を損なったときのため……と払わないわけにはいかない支出とはいえ、それで生活が苦しくなってしまっては、元も子もありません。 

 

勤労者世帯の2002年〜2020年の社会保険料を見ていくと、初めて5万円台を記録したのは2013年のこと。多少の増減は見られるものの、一昔前から1万円以上も増加しているのです。 

 

 

2002年 4万4,152円 

 

2003年 4万4,347円 

 

2004年 4万3,596円 

 

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2013年 5万102円 

 

2014年 4万9,456円 

 

2015年 5万1,035円 

 

2016年 4万9,287円 

 

2017年 5万691円 

 

2018年 5万3,612円 

 

2019年 5万6,304円 

 

2020年 5万7,223円 

 

社会保険料の推移については、専門家の次のような指摘も。 

 

“年収が1000万円あっても、手取りは600〜700万円にまで減ってしまいます。給料が上がったとしても、税金や社会保険料の負担が重たいために、手取り額はほとんど増えません。実際にこの十数年間、年金や保険料の負担額は上がり続けています。”(竹田真基『9割の日本人が知らない「資産形成」成功の法則』幻冬舎MC・2019年6月) 

 

少子高齢化が加速している日本。2024年に20歳を迎えた人数は過去最少の106万人となり、2023年の出生数もおよそ75万人と、記録的な低水準です。このまま生産年齢人口が減少し続けると、経済停滞や社会保険料のさらなる増加が予想されます。 

 

こうした課題に対し、政府は「異次元の少子化対策」として、育児支援や働き方改革、子育て世帯への経済的支援などを強化しています。​2025年4月からは、育児休業中の手取り10割相当の給付や、2歳未満の子どもを育てる親への時短勤務給付制度が導入されました。​ 

 

また、児童手当の所得制限が撤廃され、高校生まで支給対象が拡大されるなど、支援の幅が広がっていますが、実際の効果が現れるまでには時間がかかるでしょう。​ 

 

経済政策においては、賃上げや物価対策が重要なテーマとして取り上げられています。​石破茂首相は、米国の新たな関税措置による影響を緩和するための緊急経済対策を発表しました。​この対策には、企業向けの資金支援、ガソリン価格の10円引き下げ、電気料金の一部補助などが含まれています。 

 

一方、日本銀行は2025年5月1日、政策金利を0.5%に据え置くことを決定しました。​同時に、米国の関税引き上げによる輸出の減少を受け、2025年度の経済成長率予測を1.1%から0.5%に下方修正しました。 

 

少子高齢化や経済の不確実性に対処するためには、現実的かつ持続可能な政策の実現が求められます。​今後の政策動向を注視し、慎重に見極めていく必要があるでしょう。​ 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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