( 287941 )  2025/05/03 04:10:19  
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記者会見を行う立憲民主党の野田佳彦代表=2日午前、国会内(春名中撮影) 

 

立憲民主党の野田佳彦代表が夏の参院選に向けて打ち出した1年限定で食料品の消費税率をゼロにする案が、与野党双方から集中砲火を浴びている。1年という短い期間に消費税率を2度変更することになるため、事務負担や経済的な効果が疑問視される。筋金入りの財政規律派でありながら持論を曲げて消費税減税にかじを切った野田氏だが、早くも「針のむしろ」状態になっている。 

 

■仁徳天皇の故事にならい消費減税を訴え 

 

野田氏は2日の記者会見で、「民のかまどから煙が立たなくなることを放置できないという中での政治判断だ」と述べた。仁徳天皇が家々から炊事の煙が上がっていないのを見て民の窮状を知り、税を免除した故事になぞらえ、消費減税の必要性を強調したものだ。 

 

首相時代、社会保障と税の一体改革で消費税率10%への引き上げに道筋をつけた野田氏にとって、減税は苦渋の決断だった。4月25日の記者会見では「悩んだり、困ったり、悶絶(もんぜつ)したり、七転八倒したりした」と赤裸々に明かした。 

 

参院選まで2カ月余りだが、立民の政党支持率は低迷している。消費減税は党勢回復に向けた野田氏の乾坤一擲(けんこんいってき)の策といえるが、他党の反応は冷ややかだ。 

 

石破茂首相(自民党総裁)は4月30日、訪問先のフィリピンで記者団に、「高所得者を含めて負担が軽減されるので、低所得者が物価高に一番苦しんでいることを考えるとどうなのか。検討が必要だ」と疑問を投げかけた。 

 

■維新・吉村氏、野田氏の本気度を疑問視 

 

日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)も5月1日、記者団に「われわれも2年に限定して『食料品の消費税ゼロ』と言っているのに、あえて違う案を言うのがよく分からない。1年も短すぎる」と指摘した。さらに「本気でやるつもりはないんじゃないか。党内をまとめる上での妥協の産物だ」とこき下ろした。 

 

こうした批判に対し、野田氏は「的外れな批判が多い。制度設計できたあとにきちんと反論していく」と強気の姿勢を見せる。もっとも、財源の確保をはじめ実現可能な政策として示すことができなければ、自らへの包囲網が一層狭まりかねない。(永原慎吾) 

 

 

 
 

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