( 288971 )  2025/05/07 04:10:55  
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インタビューに応じる日本維新の会の柳ケ瀬裕文参院議員=23日午後、国会内(奥原慎平撮影) 

 

日本に在留する外国人は、平成26年の約210万人から10年間で1.7倍の約360万人まで急増した。労働力確保というメリットがあるが、治安上のリスクや社会保険制度の「タダ乗り」などいびつな構造が浮き彫りになっている。こうした中、外国人の生活保護受給や医療費の問題などの抜け穴などに関し、政府を追及してきたのが、日本維新の会の柳ケ瀬裕文参院議員だ。柳ケ瀬氏は産経新聞のインタビューに「日本の国民としては、納得感は全くない」と述べ、外国人受け入れについて「立ち止まって考えるべきだ」と訴えた。 

 

――そもそもの問題意識は 

 

「在留外国人の数が異常に増えたと実感している。私の住んでいる東京都大田区や、江東区、中央区でも、ほぼ外国人だらけというような状況がみられる。地域住民からいろいろな陳情を受ける。『インバウンド(訪日外国人客)のせいでバスに乗れない』『文化の違いから学校でトラブルがある』などだ。無制限に流入しているのは問題がある。国民の不満・不安を解消したいというのが始まりだ」 

 

■年間1200億円試算も 

 

<3月14日の参院予算委員会で、柳ケ瀬氏は生活保護について取り上げた。最高裁判決では生活保護法が対象としている「国民」に外国人は含まれないとなっているが、旧厚生省は昭和29年、外国人についても国民の取り扱いに準じるよう通知している> 

 

――まず、生活保護を取り上げた 

 

「日本人の生活保護にも不正受給など問題がある。その中で外国人が生活保護を受けているということに対しては、日本国民としては納得感は全くない。外国人の生活保護に関しては、令和4年で560億円の支出というが、年間1200億円という試算もある。法的根拠がないのに、これだけ莫大な金額を投じている」 

 

――懸念は 

 

「なし崩し的に増え続ける外国人が生活保護に流入していくことは十分考えられる。そうすると財政も当然圧迫する。生活保護は、審査など含め自治体の業務だ。自治体からは、手続きが煩雑だとか、これから増え続けた場合にどう対処していいのかという悲鳴が聞こえてくる。少なくとも旧厚生省通知は廃止し、外国人にどこまで支給するのか議論すべきだ」 

 

■中国人ブローカーが暗躍 

 

 

――医療費。来日後すぐに高額療養費制度を利用する「タダ乗り」について 

 

「外国人は3カ月の滞在で国民健康保険に加入し、協会健保は会社を設立すればすぐに加入ができる。高額療養費制度の対象となる。想定外の抜け穴だ。ずっと日本人で社会保険料や税金を払ってきた人と、一部だけ払っている人が同じ利益を得てよいのか、というのは議論すべきだと思う」 

 

――いわゆる「経営管理ビザ」の悪用もある 

 

「明らかにブローカーが中国であおっている。『日本で会社を作れば、高額医療をタダ同然で受けられる』といった内容だ。経営管理ビザの仲介はカネになるようだ。顧客は資産を守りたい富裕層で、キャッシュポイントが多い。例えば、会社設立の手数料100万円、民泊にするなら不動産購入に1千万円と手数料500万、運営するための従業員の雇用に500万円といったように、カネを巻き上げやすい。だから経営管理ビザはうなぎ登りだ」 

 

<厚生労働省の資料によると、国内在住の外国人による国民健康保険の納付率は、データのある150市区町村の平均で63%だった。日本人を含めた全体は93%で、外国人の納付率が低い実態が浮かんだ。他方、「年齢別では外国人被保険者数は日本人被保険者に比べ若年層が多い」「総医療費、高額療養費支給額に占める外国人の割合は、それぞれ1.39%、1.21%であり、必ずしも被保険者に占める外国人の割合に比して大きいとは言えない」などと記されていた> 

 

「未払いは留学生が多いと思うが、説明不足だろう。大学なども含めてきちんと説明すべきだ。被保険者が若い、国保を支えている、という勢いの書きぶりだが、それは違う。タダ乗りしている人も多いし、被保険者が高齢化すれば支えられる側になる。しっかり長いスパンで物事を考えるべきだ」 

 

――自民党は対策に乗り出すというが 

 

「2年前、自民党が外国人による医療費未払い問題を中心に外国人の医療費問題を国会で取り上げていたが、何もできていない。これからもやりきれないのではないか。公明党は、私の質問のときに、いちばんいやそうな顔をしていた」 

 

 

――条約等との関係で、外国人を区別できないとの主張もある 

 

「しっかりと突き詰めて、ロジックをきちんと構築して論破していきたい」 

 

■外国人に4千億円 

 

――給付金について。住民税非課税世帯向けの給付金や新型コロナウイルス禍を受けた一律の給付金などを外国人も受け取れる点を質問していた 

 

「4千億円近いお金が令和2年から外国人にばら撒かれている。納得感はない。住民税は前年度の収入に課税するので、外国から来た人は前年度の収入が分からないので住民税非課税世帯になる。税金を払わず、ありとあらゆる恩恵を受けられる。それで帰国してしまう、と。日本に来るとおいしいことだらけだ。コロナの時にはとにかく迅速に、ということを理由にばら撒いた。『国民』の暮らしを守る経済対策なのに、『住民』が対象となっている。明らかに齟齬(そご)がある。きちんと説明すべきだ」 

 

――健康保険を通じて支給される出産育児一時金も、日本に住んでいれば外国人も受け取ることができる 

 

「日本の少子化対策という政策目的で給付をしているのに、外国人にまで給付されているというのは明らかにおかしい。外国人を除く形になると立憲民主党などが怒るのだろう。公明への配慮もあり、波風立てないようにやっているのだろう。同じ日本に住んでる人なんだからいいじゃないか、という考えもあるだろうが、しっかりと議論をして、国民が知ったうえでどう判断するかということをやったほうがいい」 

 

■「お花畑」な政党 

 

――中国出身で日本に帰化した男性が、静岡県熱海市長選に立候補の意向を表明し、過去に日本人を侮辱するような発言を行ったとして問題になっている。「帰化取り消し」の是非について国会で質問していたが、真意は 

 

「帰化した人が中国政府と関与していることも十分想定される。安全保障上の脅威となる事案に関しては帰化を取り消せるよう法整備すべきだと考えるが、日本には帰化の取り消し要件がなく、重大な犯罪をした者でも取り消せない。政府としては、日本は二重国籍を認めていないので帰化を取り消すと無国籍になってしまうということで否定的だ。ただ、英国は移民の問題があり、帰化取り消しをできるようにした。英国で乗り越えられたのだから、日本もできると思う。無国籍者の扱いをどうするか決めればいい」 

 

 

――難しい側面もありそうだが、当面できることは何か 

 

「まず、帰化の条件を厳しくすることだ。永住権を取ってから、ということにすればよい。永住権が難しいから帰化を目指す、みたいな流れがある。永住権には10年の住居要件と過去5年の訴訟、納税、社会保険料の納付状況をみるが、帰化は5年の住居要件で犯罪歴も含めて直近1年間の訴訟しか見られない。本末転倒だ。在留外国人の数が爆増しているので、帰化も永住者も増えるだろう。しかし、そうした中で外国人に地方参政権を与えるべきだというような『お花畑』なことを言っている政党もある。危機感がない」 

 

■外国人受け入れ、立ち止まって 

 

――あるべき外国人との「共生」は 

 

「ほとんどの外国人は真面目だと思う。ただ、数が増えると文化の違いはある。政府はとにかく労働力として外国人を入れたいが、短期的には人手不足が解消されるかもしれないが、長期的に見たときにこの国に何をもたらすのか、考えなくてはいけない。お互いが分かり合って安心して住める国にしなければいけない。とにかく急増している。問題を放置してどんどん増やすのはよくない。インバウンドを含め、外国の受け入れは一度立ち止まるべきだ」 

 

「共生社会を謳うのであれば、抜け穴を一つ一つふさぎ、いびつを直した上で、共生社会を受け入れなくてはいけない。日本人が不信感を持つと、分断を生む。社会保障制度などで、どこまで外国人を受け入れていくのか、国民にも納得のいくような形で提示をしないといけないと思う」 

 

(聞き手 沢田大典、奥原慎平) 

 

 

 
 

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