( 289106 )  2025/05/07 06:46:04  
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MBSニュース 

 

日米の関税交渉は2回目が終了。赤沢経済再生担当大臣は「非常に突っ込んだ話ができた」と語りました。要求に対し日本は「米」「大豆トウモロコシ」「車」といった交渉カードを使うのか? 

米国内の経済不安や政治日程も絡む中で、「交渉は急がない方が良い」と指摘する専門家もいます。日本の選択肢、そして今後の展望を徹底解説します。 

 

日本とアメリカの関税措置をめぐる交渉、ワシントンで行われた第2ラウンドの直接交渉は、事前の見込みより長く2時間10分に及びました。赤沢大臣は「可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、率直かつ建設的な議論を行い、前進することができたと考えています」と述べ、交渉が進展したとの認識を示しました。 

 

赤沢大臣によると、相互関税や自動車関税など、いわゆるトランプ関税の見直しを改めて強く求めた上で、日米間の貿易の拡大や非関税措置、経済安全保障面での協力についても具体的に議論したとのことです。今月中旬以降には、閣僚間の協議を集中的に行う方向で一致し、交渉が本格化する見通しです。 

 

世界経済や政治の動向に詳しい、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、2回目の交渉後の状況について、「日本としては合意はあんまり急いでないんじゃないかなっていう印象があります」と指摘。 

 

「アメリカの方が合意を少し急いでる感じがあってですね、やや、日本の交渉力が少し上がってるんじゃないかなっていう印象はありました」と分析しました。 

 

一方、トランプ大統領は強気の姿勢を崩していません。アメリカメディアの取材に対し、「彼らは我々を求めているが、我々は彼らを必要としていない」と強調しました。強気の裏には懸念材料も指摘されています。トランプ氏が就任した後の今年1月から3月までのアメリカのGDP(国内総生産)は、3年ぶりのマイナス成長を記録しました。 

 

赤沢経済再生担当大臣は交渉後、「非常に突っ込んだ話ができた」と複数回強調しましたが、具体的な交渉内容については明言を避けました。ただ「為替と安全保障は議論にならなかった」と述べました。 

 

 

この点に元TBS記者でジャーナリストの武田一顕氏は、「赤沢大臣とベッセント長官の間で、暗黙の了解ができてきたのではないか」と指摘します。 

 

特に安全保障の分野を切り分けたことについて、「これは今後開催を目指す石破首相とトランプ大統領との首脳会談に向けた、舞台づくりである可能性がある」とみています。武田氏は、安全保障に関しては、石破首相が防衛大臣を2度務めた経験がある安全保障のプロであるとし、そのためこの分野に関する議論は、赤沢大臣ではなく、石破首相とトランプ大統領の間で行うという日本側の強い意向を示すサインと読み解いています。 

 

ディールの行方を握るのは、アメリカの国内情勢かもしれません。同志社大学大学院の三牧聖子教授は、「いまアメリカ国内の経済不安はここ20年で最も高まっている」と指摘しています。アメリカ国内ではトランプ関税で不満が高まっている、それでも強権的に進めているという状況があるようです。 

 

いっぽうFOXニュースがトランプ政権の政策ごとの評価を調査(4月18~21日)したところ「関税:評価する33% 評価しない58%」「外交:評価する40% 評価しない54%」「国境対策:評価する55% 評価しない40%」となっています。 

 

そして三牧氏、木内氏とも「この交渉は急がない方がいい」と見ています。三牧氏は、国内で批判が高まれば、アメリカ側が交渉の手を緩める可能性を指摘。野村総合研究所の木内登英氏も、アメリカ国内で関税による物価上昇への反発が強まる夏から秋頃まで「時間稼ぎ」をすべきだと提言。その時期になれば、アメリカ側が関税の見直しに動く可能性があると見ています。 

 

こうした専門家の見方について、ジャーナリストの武田一顕氏は、「確かにそうなんだけど、外交はどうしても焦ってしまう。」と指摘、アメリカでは来年に中間選挙を控え、日本では都議会議員選挙と夏の参議院選挙が予定されていて、さらにこれらの間にカナダでG7サミットが開催されるため、それまでに何らかの成果を出したい」と追い立てられる可能性があるとしています。 

 

木内氏は、仮に関税を受け入れた場合の日本のGDPへの影響は【0.5~0.8%減】で、アメリカの要求通りに対日赤字8.6兆円が全て解消された場合は【GDP1.4%減】となるため、「結果、関税を受け入れる方がマシ」との見方も示しており、今後の交渉の行方が注目されます。 

 

 

 
 

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