( 290211 )  2025/05/11 07:03:20  
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新しくブレザー型になった出雲市立第一中学校の制服(左)と従来のセーラー服=出雲市大津町 

 

 性の多様性に配慮した学校の制服が増える一方、定番だった女子生徒のセーラー服が島根県内から消えつつある。多くがセーラー服だった出雲市内での中学校で、5校が2025年度からブレザーを導入。登下校や授業の風景が一変している。  

 

「皆さんは新しい制服を着る第一期生。新しい一中の伝統をつくってほしい」 

 

 出雲第一中学校(出雲市大津町)の安達直幸校長が4月の入学式で、新入生に語りかけた。 

 

 従来、女子は白いリボンのセーラー服、男子は「学ラン」だった同校では、数年前から女子もズボンを着用できるように希望する声が出たことがきっかけで変更につながった。 

 

 PTAやOB会、生徒会などで検討委員会が立ち上がり、女子と男子の性差を無くしたブレザーの制服を採用。リボンやネクタイを男女に関係なく選べるようにした。 

 

 新入生の山本有希子さん(12)は、「セーラー服を着るのはあこがれだったから、少し残念」と話した。一方、入学式でズボンを着用した女子生徒の母親(47)は「ブレザーの制服をすんなり受け入れることができた」と話す。 

 

 出雲市はかつて一中のほかにもほとんどの中学校がセーラー服で、リボンの色が学校を見分ける手掛かりの一つだったが、ここ数年で二中、三中、大社がブレザーに変わり、25年度は一中のほか、斐川西、斐川東、浜山、河南がブレザーになった。 

 

 一中の安達校長は「学校の授業などでジェンダーを考える機会が増え、自然と制服を変えようとする動きが大きくなったのではないか」とし、セーラー服からブレザーへの変更は時代の流れとする。 

 

 ただ、完全に消えたわけではない。出雲市内でも多伎や湖陵、松江市内では三中や湖南でセーラー服が生き残っている。 

 

 理由はさまざまだが、学校の歴史の象徴でもある制服を変えるとなると、校内だけでなくOB・OGなど外部の意見も聞く必要があり、根強い人気もあるようだ。 

 

 セーラー服を採用する学校では、ジェンダーに配慮した工夫をしているところもあり、松江三中の吉野敦博校長は「数年前からセーラーにズボンを合わせられるようになっている」と話し、伝統と多様化の融合を模索する。 

 

 

 
 

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