( 290402 )  2025/05/12 06:04:46  
00

石破総理が備蓄米の流通経路変更を検討か 小売店に直接卸す“時短案” 

 

 コメの価格高騰が止まらないなか、新潟のコメ農家では異例の方針転換を迫られています。そうしたなか、石破茂総理大臣が備蓄米の流通経路の変更を検討していることが分かりました。 

 

 新潟有数のコメの産地、新潟県長岡市でコメ農家を営む金子健斗さん(33)。植え付けを控えた苗も順調に育ち急ピッチで作業を進めていますが、今年のコメ作りは例年と少し違うようです。 

 

金子農場 金子健斗代表 

「今年は飼料用米をすべて廃止して主食用米を作っています」 

 

 東京ドームおよそ5個分の作付面積のうち、例年は2割ほどで家畜の餌(えさ)として使われる飼料用のコメを栽培してきました。しかし、コメ価格の高止まりを受け、今年はすべての田んぼで主食用のコメを栽培することを決めました。 

 

金子代表 

「多めに作らないと価格は下がってこないので、新潟県内のコメ農家は、酒米と加工用米と飼料用米を今年は減らして、主食用米を作るという農家さんが非常に増えています」 

 

 新潟県は、2025年産米の不足感を受け、主食用米の生産目標を引き上げました。ただし、加工用米など「非主食用米」の作付が減ることで懸念されるのが、周辺産業への影響です。 

 

金子代表 

「畜産農家さんの飼料として餌として与えるものが減ってくるので、畜産経営されている方のコストが上がってくる。日本酒の『酒米』ですとか、お餅とかおせんべいに使う『もち米』、そちらのほうの影響もあると思います」 

 

 それでも、「消費者の手に届きやすいコメ価格にしたい」という思いから下した苦渋の決断でした。 

 

金子代表 

「少しでも価格を下げて提供したいと思っている半面、他のところにひずみが出てしまうのはやはりやりきれない気持ち」 

 

 主食用米への転換で1.5倍ほど収入が増えるとみていますが、その一方で農機具の買い替えなど生産コストも上昇していて、農家の利益は圧迫されています。 

 

金子代表 

「知恵を絞っているんですけど、その知恵でいけないところまでコストが上がってきているので、コメ農家としては利益が圧迫されているような状況」 

 

 

 コメどころ新潟の異変は、消費者の間でも起きていました。新潟市内にある直売所のコメ売り場では…。 

 

 新潟のトップブランド米「コシヒカリ」は、5キロで4266円。それより600円ほど安い「こしいぶき」は、入荷待ちの状態となっていました。 

 

ファーマーズ・マーケットいっぺこ〜と 佐久間滋久店長 

「今までやっぱりコシヒカリを買われている客が多かったが、価格に誘導され、こしいぶきを買われる客のほうが多くなっている」 

 

 コメの「味」にこだわる人が多いという新潟の皆さんですが、価格の高騰を受けて今は「安さ」を重視する傾向にあるといいます。 

 

地元客 

「やっぱり高いですね」 

「(Q.品種のこだわりは?)いや、今はこだわっている場合じゃないですね」 

 

 コメの価格高騰に歯止めがかからない一因となっているのが、備蓄米の流通の遅れです。JA全農によると、落札した備蓄米およそ20万トンのうち卸売業者に出荷できたのはおよそ3割にとどまっています。 

 

石破総理 

「可能な限り早く手に取りやすい価格で消費者の手にわたるよう、スピード感と危機感を持ち取り組んでいく」 

 

 ゴールデンウィーク明け真っ先に、価格高騰の対策をたてるよう指示した石破総理。備蓄米が「停滞」している今の状況に憤りを感じていると、直接取材した政治ジャーナリストの青山和弘氏は語ります。 

 

青山氏 

「石破総理が非常にこだわっているのが流通経路を見直していくこと。川下(小売店)までの流れをちゃんと見なければいけないということを強く指示している」 

 

 現在は、JAなど集荷業者が備蓄米を落札し、そこから卸売業者、小売店という流れで消費者に届いています。ただ、卸売業者の段階で、精米や袋詰めに時間がかかり、流通が滞る一因になっているのです。その解決案として挙がっているのが…。 

 

青山氏 

「小売店に直接、備蓄米を卸す方法も考えなければいけないというのも入っている。小売業者に届くまでの間に値段が上げられてしまったり、先に在庫からはけたり、そういうことが実際に起きている。流通経路を見直して小売店に備蓄米が直接届くルートの構築など、ありとあらゆることをやっていくということ」 

 

 

 こうした動きを小売店では、どう受け止めているのでしょうか。 

 

飯塚精米店 飯塚隆夫さん 

「備蓄米が来るのであれば、いただけるならもらいたい」 

 

 こう期待を寄せるのは、おにぎりの販売も行う都内の精米店です。 

 

飯塚さん 

「(Q.備蓄米は入ってきている?)うちはまだ入ってきていない。卸問屋からは今のところそういう話はない」 

 

 仮に小売店に備蓄米が直接、卸されることになっても、精米機のある小売店であれば十分対応はできるといいます。 

 

飯塚さん 

「これが玄米。これを入れて、出てくると白くなる。それが精米」 

 

 新潟産コシヒカリの玄米およそ5キロを精米機にかけると、玄米から白米になりました。5キロ分を精米するのにかかった時間はおよそ3分。手作業での袋詰めも、それほど手間ではありません。 

 

飯塚さん 

「(Q.仮に直接小売店に卸すことになれば?)それは良いことだと思う。それだけ消費者に行きわたるのが早くなります。うちで精米して販売するのは可能」 

 

(「グッド!モーニング」2025年5月11日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

IMAGE