( 290467 ) 2025/05/12 07:18:32 0 00 バルセロナがクラシコに勝利(C)Getty Images
11日のラ・リーガ第35節、モンジュイックを舞台としたバルセロナ対レアル・マドリーのクラシコは4-3でバルセロナの勝利に終わった。
残り4節、勝ち点4差の状況で迎えるラ・リーガ伝統の一戦、クラシコ。首位バルセロナが勝てばラ・リーガの優勝争いは事実上決着がつくことになり、反対に2位マドリーが勝てば最後まで分からなくなる。
バルセロナはレヴァンドフスキに続いてバルデも負傷から復帰を果たしたが、フリック監督が前日会見で語った通り、どちらもベンチスタートに。GKシュチェスニー、DFエリック・ガルシア、クバルシ、イニゴ・マルティネス、ジェラール、MF後列フレンキー・デ・ヨング、ぺドリ、前列ヤマル、ダニ・オルモ、ハフィーニャ、FWフェランと、120分間の激闘の末に敗れた前試合インテル戦と同じスタメンを組んでいる。
対してマドリーは、前試合で体調不良だったロドリゴが復帰も、アンチェロッティ監督は同選手をベンチに置いてギュレルを先発に。攻守のバランスが取れなかったヴィニシウス、エンバペ、ベリンガム、ロドリゴの“ファンタスティック4”を解体して、システムを4-3-3から4-4-2に完全に移行した。全スタメンはGKクルトワ、DFルーカス・バスケス、チュアメニ、アセンシオ、フラン・ガルシア、MFギュレル、バルベルデ、セバージョス、ベリンガム、FWエンバペ、ヴィニシウス。
前半は激しい打ち合いに。最初にゴールを決めていったのは、アウェーのマドリーだった。まず4分、クバルシがボールコントロールを誤り、これに乗じたエンバペがペナルティーエリア内に侵入すると、GKシュチェスニーに倒されてPKの判定。エンバペ本人がキッカーを務め、強烈なシュートでネットを叩き込んでいる。
マドリーは15分に加点する。左サイドのヴィニシウスがアウトサイドでスルーパスを出し、中央のエンバペがDFラインを突破。そのまま右足のシュートで再びシュチェスニーを破った。エンバペは今季ラ・リーガの得点数を26に伸ばし、レヴァンドフスキを1点上回りランキング首位に立っている。
2点を先取したマドリーは、このまま勝利の道を切り拓くようにも思われた。だがしかし、やはり現実は甘くない。今季のマドリーは“ファンタスティック4”の併用とDF陣に負傷者が続出したことで、チーム全体の機能性を欠き続けた。ここにきて付け焼き刃の新システムで何とかしようとしても、シーズンを通してその勇敢かつシステマチックなプレーで称賛されてきたフリック監督率いるバルセロナは、押さえ込むことがあまりにも難しいチームだった。
2失点を喫したバルセロナは、そこからハイラインの攻撃的フットボールで試合を一方的に支配。その圧力は凄まじく、レアル・マドリーをペナルティーエリアに押し込み続け、ゴールラッシュは時間の問題と感じさせた。
そうしてバルセロナは、まず19分にまず1点を返す。左CKの場面で、ニアサイドのフェランが頭でボールを後方にそらすと、中央のエリック・ガルシアも頭を使ってクルトワを打ち破った。その後もバルセロナの勢いは一向に衰えず、32分には同点に追いつく。ペナルティーエリア中央に侵入したぺドリ、すぐ右のハフィーニャ、さらに右のヤマルとパスをつなぎ、ヤマルが左足で対角線上にシュート。ややカーブがかかったボールが、クルトワの横っ飛びもむなしく枠内左に収まっている。
バルセロナはもう止まらない。スコアをひっくり返したのは、2点目を決めてからわずか2分後のこと。エンバペとセバージョスの連係ミスでこぼれたボールを、ぺドリが抜け目なく奪うと、すぐさまハフィーニャのスルーパス。ブラジル人FWがいつもの力強く、それでいて高精度のシュートをネットに突き刺した。
逆転したバルセロナはさらに45分、ハフィーニャがペナルティーエリア内でL・バスケスのボールを後方から奪い、そのままこの日2ゴール目を記録。スコア4-2とした。モンジュイックに詰めかけたバルセロナのサポーターは大歓喜で、まだ前半だというのに、自チームのパス回しで「オーレ!」をコールしていた。前半はそのまま終了している。
ハーフタイム、アンチェロッティ監督は交代カードを2枚切り、セバージョスとギュレルを下げてモドリッチとブラヒムを投入。後半はバルセロナが少し圧力を下げたこともあり、モドリッチがゲームメイクを請け負うマドリーも攻撃を仕掛けられたが、なかなか決定機まで生み出すことができない。対してフリック監督は57分、負傷したクバルシ、またジェラールを下げてクリステンセン、バルデをピッチに立たせている。
そして70分、マドリーがバルセロナの強みであり弱みでもある高いDFラインを突いて、希望を灯すゴールを決めた。モドリッチのスルーパスからヴィニシウスがDFラインを突破。そのままシュチェスニーの眼前までボールを持ち運んで横パスを出すと、並行して走っていたエンバペが無人のゴールにボールを押し込み、ハットトリックを達成している。マドリーはエンバペの意欲と存在感がヴィニシウスやベリンガムと比べても飛び抜けており、来季は彼中心にチームを構築することを予感させている。
1点差に詰め寄られたフリック監督は77分にダニ・オルモ、エリック・ガルシアをエクトール・フォルト、フェルミンに代える。バルセロナはその後、何よりボールポゼッションを重視して、隙あらば攻撃を仕掛けるというスタンスを取った。80分にはペナルティーエリア内でフェランがシュートを放ち、チュアメニが手で止めたように見えたが、エルナンデス・エルナンデス主審はオンフィールドレビューの後、ハンドではなかったと判断している。
アンチェロッティ監督は84分にL・バスケスをエンドリッキ、87分にヴィニシウス(足を痛めていた)を下部組織の攻撃的MFビクトール・ムニョスに代えて最後の猛攻に出ることを決意。DFラインがずっと高いままで、試合を締めるのが苦手なバルセロナ相手に攻め込んでいく。89分にはエンバペのスルーパスからDFラインを突破したビクトール・ムニョスがフリーでシュートまで持ち込むも、これは枠を捉えられず。また91分にはエンバペ自身が抜け出してシュートを放ったが、こちらはシュチェスニーの好守に遭った。
後半アディショナルタイムには、オフサイドでエンバペ、ハンドでフェルミンのゴールが取り消されて、結局バルセロナが最後まで1点リードを維持して試合終了のホイッスルを迎えた。バルセロナはラ・リーガ前半戦(4-0)、スペイン・スーパーカップ決勝(5-2)、コパ・デル・レイ決勝(3-2)、そして今回の勝利と、フリック監督政権1年目の今季、クラシコで全勝を収めている。一方のマドリーは今季限りでアンチェロッティ監督が退任する見込みで、このクラシコの敗戦は一つの時代が終わったことを意味しそうだ。
首位バルセロナは2位レアル・マドリーとの勝ち点差を7に広げることに成功。次節、エスパニョールとのダービーに勝利すれば、2シーズンぶりのラ・リーガ優勝を決められる。
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