( 290695 )  2025/05/13 06:35:34  
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先輩社員たちも“物言う新入社員”に振り回されている(イメージ) 

 

 GWが明け、新卒で就職した新入社員の会社員生活も1か月が過ぎた。社会人1年目にとっては、まだまだ仕事内容や社会常識を覚えていく時期の真っ只中だろうが、指導する立場の先輩社員側も苦労が絶えない。とりわけ昨今のコンプライアンス意識の高まりから、パワハラ・セクハラにならないよう先輩たちが細心の注意を払う一方で、令和に学生時代を過ごしたZ世代新卒社員たちの「予想だにしない言動」に振り回される事案も多いようだ。戸惑う先輩社員たちの声を聞いた。 

 

 金融会社勤務のAさん(30代/女性)は、「そんなこと言っちゃうの!?」と、新卒社員の率直すぎる発言に驚いたエピソードを明かす。 

 

「新卒で入った女性社員が営業でミスをしたらしく、上司に厳しい言葉をかけられて落ち込んでいました。なので、励まそうと思って『3年あれば一人前になれると思うから、がんばって!』と声をかけたところ、『3年もこの会社にいるわけないでしょ!?』と逆にキレられて……。 

 

 仮に3年続けるつもりがなくても、3年以上この会社にいる私に向かって言っていい言葉ではないのでは……。そういう人は、クライアント先で何か失言するリスクが高そうだし、社内でも信用を失わないか心配です。相手の立場を考えた言い方をするように指導する必要があるとは思いますが、あの言い返しっぷりを聞いてしまうと、何を言ってもこちらが悪者にされてしまう気がして、指導もためらい気味に。結果的に彼女自身が、育成してもらえるチャンスを逃している気がしなくもないです」(Aさん) 

 

 広告代理店勤務のBさん(40代/男性)も、新卒社員の発言に戸惑ったという。 

 

「クライアントを交えたテレビCMの企画会議の場に、うちの新卒の男性社員を勉強のために同席させていたんです。そうしたら彼が突然、『ぼくテレビとか見ないんで』と言い出して。そうかもしれないけど、今、お前の私生活の話は聞いていない。ざっくばらんな酒の席とかならともかく、少なくともテレビCMを打つことがクライアントの要望なのだから、それを否定的に捉える発言はご法度でしょう。ものごとを前向きに進めようとしない発言にその場が凍りました」(Bさん) 

 

 

 テレビ制作会社に勤務するCさん(30代/男性)は、「検索しない新卒社員」に困惑したことがある。 

 

「ある事件について調べておくよう新卒社員に指示したら、『どうやって調べるんですか』と言われました。インターネット自体には慣れているものの、普段はSNSしか見ないとのこと。わからないことはChatGPTに聞いたら終わりで、それ以上調べることをしないんです。結局Yahoo!やGoogleなど検索エンジンの説明からしなくてはならず、むしろうちの祖父母のような高齢者のほうが検索に慣れているのでは、と思ったことがあります」(Cさん) 

 

 メーカー勤務のDさん(30代/女性)は「検索の仕方が人によって異なるのも考えものです」とため息を漏らす。 

 

「自分に都合のいい情報をインターネットで探してくる男性の新入社員がいるんです。電話口での応答がカジュアルすぎだったので注意したところ、『このサイトにはそれがいいと書いてある』などと反論されました。彼には悪気がなく、むしろちゃんと調べようという熱意は持っているとも言えますが、ネット上に情報が溢れかえっているのは、案外厄介かもしれません」(Dさん) 

 

 もっとも、人と人とのコミュニケーションが最初から上手くいくわけではない。なかには、新卒社員の言動に戸惑いながらも、「配慮が行き届いていなかった」と、今後の指導の糧にする先輩社員たちもいる。 

 

 商社勤務のEさん(40代/男性)は、部下と交流を図るためにセッティングしたサシ飲みの席で、自分の振る舞いを見つめ直す出来事があったという。 

 

「予約した店に到着して飲み始めた瞬間、部下に『なるべく早めに終わると助かります』と言われたんです。次の予定があるなら先に言ってくれれば調整可能だったのに……とは思いましたが、『飲み会をOKしてくれた時点で、その日は予定を空けてくれている』とこちらが勝手に決めつけていたのも事実。今後は終わりの時間を設定するようにしようと思いました」(Eさん) 

 

 IT企業勤務のFさん(30代/男性)は、“こちらが先回りして留意事項を言っておく必要がある”と思わせられたのは、オンラインミーティングでの出来事だった。 

 

「新卒女性を交えて、新しいプロジェクトでの顔合わせの社内オンラインミーティングがあったのですが、その社員は挨拶もせず、ずっとカメラもオフ。結局、彼女は顔を一度も出さないまま、会議は終了となりました。 

 

 あとからなぜカメラをオフにしていたのか聞いたら、『メイクをしてなかったので』とのこと。“顔見知りならまだしも、初対面の場合は顔を覚えてもらうためにもカメラはオンにしてね”と予め伝えておくべきだったと勉強になりました」(Fさん) 

 

 新入社員にもそれぞれの背景や事情はある。指導する側もそれを踏まえて対応することが求められる難しい時代になりつつあるようだ。 

 

 

 
 

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