( 291897 )  2025/05/18 04:52:37  
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自民党の稲田朋美元防衛相は16日の衆院法務委員会で、選択的夫婦別姓制度の導入に反対した一方、高市早苗前経済安全保障担当相ら保守系議員が主張する旧姓の通称使用の拡大にも「限界がある」と述べ、戸籍上の「ファミリーネーム」を維持したうえで結婚後も個人の旧姓を法的に認めるという独自案を主張した。 

 

稲田氏は「家族を同一の苗字で表し、その単位で戸籍が作られる今の制度は、家族の大切さ、一体感という意味から価値がある。家族間のつながりは他の関係よりも強固で特別なものであるという感覚は、国民にも広く共有されている。家族が一つの呼称を共有することはわが国に根付くものであって、ファミリーネームに価値がある」と述べた。 

 

そのうえで選択的夫婦別姓に関しては「選択だからいいじゃないか、選択肢が増えるだけだ、という意見もあるが、別氏が選べるということは、ファミリーネームを定めなくてもよいということだ。民法における婚姻の規定は多くの国民の家族観を基礎とし、将来に渡ってもわが国の家族のつながりを支えていくものでなければならない。単なる夫婦別氏には反対だ」と強調した。 

 

一方で、稲田氏は内閣府のデータでは婚姻届を提出した夫婦のうち約95%は女性が改姓している点を踏まえ、「個人の尊厳、つまり苗字を失う喪失感や不利益が女性に多く生じている点をどうするのか。両性の合意のみで成立する婚姻の障害になっていないのか。婚姻前の氏を法律上の制度として安心して使用することができる新たな選択肢が必要だ」と主張した。 

 

通称使用拡大に関して稲田氏は「通称は法的な呼称ではないので、使うかどうかや、いつ使うかは決まっていない。自由な使い分けを許すとダブルネームになる恐れがあり、悪用すれば社会は混乱する。通称は法的なものではないので、本人確認が高度に必要な年金、クレジットカード、パスポートのICチップには入れない。手続きが必要な場合も多い」と指摘。また、通称を法律上の制度にするという議論に対しては「法律上の氏と通称が併存してしまい、パスポートなど国際的な場面でかえって混乱する」と述べ、「通称だとすべての不便や個人の喪失感を解消することができないという限界がある」と結論付けた。 

 

選択的夫婦別姓に賛成の論陣を張ってきた鈴木馨祐法相は稲田氏の提案について、「国際的な場面で理解されづらい、不正を疑われるといった状況は認識をしている。社会生活上の不利益が全て解決されるわけではないという指摘は承知している」などと述べ、一定の理解を示した。選択的夫婦別姓を巡る議論については「さまざま意見や懸念を考慮のうえ、国会で建設的な議論が行われ、より広い国民の理解が形成をされるということが重要だと考えている」と語った。 

 

稲田氏は自身の提案する制度の内容について「届け出を要件に、戸籍や子供の氏の決定など家族に関する規律についてはファミリーネームが用いられるが、個人は個人としての呼び名を法律上使うことができる」と改めて説明した。 

 

 

 
 

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