( 292467 )  2025/05/20 07:23:08  
00

証券口座を乗っ取られた人 

 

今、パソコンやスマートフォンで利用しているネット証券の口座が乗っ取られる被害が急増しています。 

 

コツコツと買いためた株が突然、見知らぬ株に… 

 

複数の被害者を取材すると、犯行の悪質な実態が明らかになりました。 

 

【証券口座を乗っ取られた人】「私が持っていた株が全て売られていまして。マイナス480万円ぐらいになりまして。率直に頭が真っ白になりました」 

 

株の運用で思いもよらぬ大損失。 

 

大阪府内に住む30代の男性を絶望の淵に突き落としたのが、最近相次いでいる「証券口座乗っ取り」です。 

 

証券口座の乗っ取り被害は「2700件以上」 

 

証券口座を乗っ取られ、不正に取引きされた被害はことし1月には30件程度しかありませんでしたが、先月は2700件以上と急増。不正に売買された金額は約3000億円に上ります。 

 

貯蓄から投資へ。「NISA」制度の拡充など、国が積極的に投資を呼びかける今、組織的な犯罪グループが証券口座を狙っているとみられます。 

 

その手口とは一体どういったものなのか。 

 

証券口座の乗っ取り被害の仕組み 

 

「乗っ取り被害」の仕組みを解説します。 

 

犯罪グループはあらかじめ株価が安く、値動きが少ないA社の株式を大量に購入。その後、不正アクセスで被害者の口座を乗っ取り、被害者が元々保有していた株式を勝手に売却します。そして、売却して得た資金をもとにA社の株式を大量購入。 

 

同じことを複数の被害者に対して行い、株価がつり上がったタイミングで、犯罪グループが事前に買っていたA社株を一気に売却します。 

 

巨額の利益を得る代わりに、被害者の手元には価格が暴落したA社株だけが残ります。 

 

取引の記録 

 

30代の男性も自宅の購入資金などに充てるため、大手企業の株式など1000万円近くの資産が証券口座にありましたが… 

 

【証券口座を乗っ取られた人】「それがすべて使用されて中国の『声揚集団』という株を約960万円分購入されました。全く身に覚えが無かったです」 

 

男性は証券会社に問い合わせましたが、回答は以下のようなものでした。 

 

【証券口座を乗っ取られた人】「(証券会社の担当者から)『売ったら私の方が中国の株を買い付けたとみなします』と言われて、そういった事情からずっと保有した状態になってます。今でいうとマイナス480万円ぐらいになりまして、正直腹立たしいです」 

 

480万円もの大損失に。男性は被害にあっても将来への不安から投資はやめないと話します。 

 

【証券口座を乗っ取られた人】「やっぱり続けないと、年金もちゃんともらえるかもわからないですし、老後2000万円問題とか言われているので」 

 

 

父親が被害に遭うも… 

 

多額の被害を出す人がいる一方で、取材を進めると口座が乗っ取られたものの運よく損失を出さなかった人に会うことができました。 

 

なぜそのようなことが起きたのか。 

 

【父親が被害にあった男性(30代)】「意図せず何者かに勝手に株が売られていて(父親から)見ず知らずの株を勝手に買われてると。どうしたらいいっていう連絡が来たのが最初です」 

 

今月14日、男性の父親が保有していたトヨタなどの株式およそ2600万円分が勝手に売却され、通販会社の株式を購入されていました。 

 

株価 

 

【父親が被害にあった男性30代)】「238円・239円で、(通販会社の株式を)買われてます。たまたま翌日朝すぐ被害に気づいて260円台で売ることができたので損失は出ずにむしろ利益が出た」 

 

なんと、乗っ取りの被害にあったものの気が付いたあとすぐに売却したためおよそ200万円の利益を得たのです。 

 

【父親が被害にあった男性(30代)】「少しでも被害に気づくのが遅くなって売るのが間に合ってなかったら値が下がった状態で売らざるをえなかった。ざっくり1000万の損害をこうむる可能性があった」 

 

紙一重で損失を免れた男性の父親はこう話します。 

 

【父親(60代)】「ネット証券は果たして安全なのかどうか、ちゃんとした人が対応してくれる銀行の方がいいんじゃないかなと」 

 

光世証券石川卓也取締役 

 

証券会社は当初“被害補償をしない方針”でした。 

 

しかし、被害拡大を受けて今月2日、日本証券業協会が一転、被害者に一定の補償をする方針を明らか。 

 

この状況について、苦しい胸の内を私たちに明かしたのは大阪市中央区に本社を構える「光世証券」です。 

 

(Q全額の被害補償はされるのか?) 

【光世証券 石川卓也取締役】「協会さんも含めていま全部いろいろなパターンやってますんで、多分そこに足並み揃えていくしかないので…」 

 

被害には足並みを合わせて対応するとした一方で、利用客へとの向き合いの中で苦労している現状があると語ります。 

 

【光世証券 石川卓也取締役】「被害に遭っている代表的なネット証券も基本的に多要素認証、生体認証含め、ほぼすべて完璧に持っている。お客様の考え方次第で何を優先されるのか。セキュリティーなのか、スピードなのか。これまではスピード優先という形で、(お客様がセキュリティを)使っていないのが大半だったと思います」 

 

この会社は現時点で被害は確認されていませんが、今後、厳しいセキュリティ設定の義務化も検討しているということです。 

 

(関西テレビ「newsランナー」 2025年5月19日放送) 

 

関西テレビ 

 

 

 
 

IMAGE