( 293312 )  2025/05/23 06:53:38  
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 高速道路などの「逆走」が今も相次ぎ、重大な社会問題になっています。そんな中、海外で運用されている「防止策」に話題が集まっています。 

 

逆走を止める有効手段は… 

 

 2025年5月18日、三重県亀山市の新名神高速で乗用車が逆走。クルマ2台に衝突したほか、逆走車を避けようとしたクルマの列に後続車が追突して女性4人が怪我をする事故が発生しました。 

 

 逆走車は現場から逃走。翌日に、クルマ2台に対する道路交通法違反(当て逃げ)の疑いでペルー国籍の34歳の男が逮捕されました。 

 

 その前にも、4月26日午後10時頃、栃木県那須塩原市の東北自動車道の上り線で、逆走してきたクルマが接触事故を起こし、さらに3キロ近く走行を続け、別のクルマと正面衝突。逆走車を運転していた40代の男性と、正面衝突された車両を運転していた50代の男性の双方が死亡するという悲惨な事故も起きています。 

 

 さらにその事故に関連した渋滞で大型トラックなど6台が絡む事故が発生し、追突された車両に乗っていた60代女性が死亡したほか、一連の事故によって10人が怪我をしました。 

 

 国や高速道路各社では、逆走防止として「逆走ですよ!」看板や、路上ペイントなどの現地施策が行われています。 

 

 しかしネット上などでは「そんなもの、逆走する人間には全然効果が無い」「それを見て気づくようなら、そもそも逆走自体起こさないのでは?」という声が相次いでいます。 

 

 そうしたなか、注目されているのが「逆走車にだけ物理的ダメージを与える」装置です。 

 

 通称「トゲトゲ」と呼ばれるこの装置は、逆走車に向けて道路いっぱいにトゲを並べています。正しい方向からクルマが来ると、素直に踏まれて地面に埋め込まれ、バネでまた元に戻り、損害は与えません。 

 

 しかし逆走車がそのまま走ろうとすると、両方のタイヤにそのトゲが刺さり、パンクさせるというわけです。 

 

 英語圏で「トラフィック・スパイク」などと呼ばれ、各地の一方通行路地などで採用されています。 

 

 

 これを日本でも採用し、タイヤがパンクすればそれ以上走れないため、逆走を強制的に阻止できるということで、導入を求める声が高まっています。 

 

逆走した事故車両(画像:国土交通省)。 

 

 国は2015年12月に「高速道路での逆走対策に関する有識者委員会」を発足させ、これまで7回の会議が開かれ、実証実験と振り返りが行われています。 

 

「トゲトゲ」は、第1回目の議論ですでに登場していますが、実際の運用に向けた特段の動きは見られないのが実情です。 

 

 たとえば第6回会議では「国内で車両を損傷させ停止させるようなハード対策は難しい」という声が。 

 

 いっぽうで第7回会議では「逆走車を物理的に制止させるような、ボラードやハンプなど、海外事例を参考に検討してはどうか」といった声も。 

 

 ネックとなるのは、逆走車がいざパンクしてトラブルになった場合、道路管理者が裁判で負け、損害賠償を請求されることになるというリスクです。 

 

 あくまで「看板の言うことを聞いてね」という「非物理的対策」しかできないのが、我が国の大きな課題と言えるでしょう。 

 

 事故が起きた後で、裁判で「看板を言うことを聞かなかった」ことが判決を左右する、逆に言えばそうした「事後的なファクター」以外の何物でもないのが、日本の交通政策の根幹になっており、頭の痛い問題になっています。 

 

 ネット上ではこうした話題に対し「早くして」「国の怠慢じゃん」「弱腰じゃ一生事故無くならない」と、導入を求める声も。 

 

 また「免許を永久剥奪でいい」「不可逆的な罰を与えればいいのでは?」「免許を一生取らせなければいいと思う」などの声が。 

 

 いっぽうで「永久剥奪すれば、単に無免許で乗り続けるだけだと思う。意味がない」として、「逆走すれば無期懲役にすべき」と提案する声も。 

 

 また「先日も見たが、明らかにパンクですごい異音してるのに平気な速度で意地でも走行する年配女性を見た」など、想像の斜め上を超える異常行動に言及する人もいました。 

 

 あるユーザーは「自動車メーカーの怠慢。逆走すればエンジンやモーターを完全ストップさせる仕組みを即時開発すべき」として、「新車を発表する余裕があるなら、逆走を強制的に阻止するシステムに全リソースを投入すべき」と提言しています。 

 

くるまのニュース編集部 

 

 

 
 

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