( 293357 )  2025/05/23 07:31:49  
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経営再建中の日産自動車を巡り、神奈川県内の取引先は全国で2番目に多い1757社に上ることが、東京商工リサーチ横浜支店の集計で分かった。追浜工場(横須賀市)、日産車体湘南工場(平塚市)の閉鎖が現実味を帯びる中、地元経済界には動揺が広がる。 

 

横浜商工会議所の上野孝会頭は、21日の記者会見で「サプライチェーンを構成する県内企業が存続の危機に直面する」と懸念を示した。同日、再建計画を説明するため訪問した日産幹部に対し、憂慮を伝えた上で「地元への影響が最小限となるよう要望した」という。 

 

東京商工リサーチの集計によると、日産グループと直接、間接の取引関係がある企業は全国1万3283社あり、最多は東京都(3949社)、3位は愛知県(1350社)。神奈川県内には両工場と本社(横浜市西区)、エンジンなどの基幹部品を生産する横浜工場(同市神奈川区、鶴見区)が集まり、取引先の集積度が高くなっている。 

 

また、取引先を産業別にみると製造業が最多で、全国5139社のうち神奈川県は542社。県内には、自動車部品メーカーを含む「輸送用機械器具製造業」が約1500社あり、そのうち約3割に日産との結びつきがあるとみられる。 

 

日産は2~3年かけて工場統合を進める構えで、取引先への影響は段階的に現れる可能性が高い。東京商工リサーチの担当者は「日産以外との取引にシフトしたり、業態転換を進めたりする動きがあるが、その競争も激しい。統合の影響は不可避だ」と指摘する。 

 

追浜工場では研究所などを含め約3900人、湘南工場では約1800人が働いており、もし閉鎖されれば地元経済に及ぶダメージも大きい。横須賀市は6月に市長選を控えており、立候補予定者の一人は「町場の不安の声は大きく、選挙の論点となるはずだ。働く人や商店街などを守る施策が欠かせない」と話す。 

 

 

 
 

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