( 293562 ) 2025/05/24 05:37:20 0 00 セルフレジの人と接しない利用法が“放置民”を生む要因に?(イメージ)
一般社団法人全国スーパーマーケット協会の「スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、2024年のセルフレジ設置企業の割合(半数以上の店舗に設置と半数未満の店舗に設置の割合の合計)は37.9%。目新しい存在から、いまや珍しくなくなったセルフレジだが、普及にともない問題視され始めているのは「利用者のマナー」である。商品やカゴを放置するなど、セルフレジの現場ではモノを「置きっぱなし」にする人が絶えないのだという。実態を取材した。
ふだんコンビニで買い物することが多い主婦の50代女性・Aさんはこう語る。
「最近、商品が放置されているのをよく見かけるようになりました。りんごとかチョコレート、缶チューハイなど、商品はいろいろですが、おそらく会計の時に“やっぱりいらない”と思ったとか、思ったより合計金額より高くて、買うのをやめたといったところでしょう」
有人レジよりもセルフレジの方が、「人の目がないので、放置しやすいのかもしれません」と分析する。
「この前は『何だよ! 現金使えねえのかよ!』と高齢男性が怒った後に、立ち去ったんです。私がそのレジを使おうとしたら、そこには5、6点の商品がそのままで、しかもレジは商品をスキャンしている途中画面のまま……。以前は、早い段階でレジの操作方法がわからず、怒る人が多かったですが、『途中退場で商品放置』はかなり迷惑です」(Aさん)
メーカー勤務の40代男性・Bさんも、コンビニやスーパーで、「商品スキャン画面で放置」に遭遇することが度々あるという。
「セルフレジの操作がわからなかった外国人観光客が、商品をレジ台に置いたまま、未会計の画面で立ち去ったところに何度も遭遇しました。これはまだいい方で、レジでは商品スキャン後の画面で、商品がその場にないこともありました。商品を元の場所に戻していれば問題ないですが、会計せず商品を持ち去った可能性もありますよね……」
放置されるのは、商品だけではない。IT企業勤務の30代女性・Cさんは、「セルフレジに買い物カゴを残したまま、売り場に戻る人にイライラします」と語る。
「セルフレジに人がいないので、『空いている』と判断して、レジに向かったら商品が入ったカゴが置いてある光景に遭遇しました。一度や二度ではありません。エコバッグやビニール袋とセットのこともあります。買い忘れたものを取りに戻る間、レジをキープしていたようなんです。
もし有人レジなら『あれ忘れた!』と思っても、売り場に戻りにくいと思うんです。セルフレジだから“カフェの席取り”感覚で軽い気持ちでキープしているのではないでしょうか。空いている時間ならまだしも、混んでいる時間は人の流れが滞り迷惑です。もう一度ちゃんと並び直してほしいです」
こうした“放置民”に店員側も手を焼いている。都内のスーパーに勤める40代女性・Dさんは、これまでもセルフレジでは、「忘れ物」や「スキャンし忘れ」が少なくなかったが、「わざと放置する人が増えている印象です」と現状を憂える。
「そもそもセルフレジ周りは、スマホや定期入れ、財布など忘れ物が多いんです。だから、商品がレジ台やカゴに残っていると、これもスキャンし忘れた物だと思い、お客様を追いかけて尋ねるようにしています。
ただ最近、わざと置いていく人も少なくありません。つい先日も、買い物カゴにバナナが残っていたので、お客様に声をかけたら、『あ、いらないんで』と一言だけ言って去っていきました。商品を買わないのなら、店員に一言かけてもらえるとうれしいです。最悪、生ものだと廃棄処分になりかねませんから……」
客が会計途中で去ることも厄介だが、自らのスキャンミスを店員に申告せず、「他のセルフレジで打ち直す人」も少なくないという。Dさんが続ける。
「私の店のセルフレジは、一度スキャンした商品を取り消すためには、店員を呼ぶ必要があります。でも、それが面倒なのか、会計途中のままで放置し、隣のレジで最初から打ち直すという人が以前よりも増えました。
その場に店員がいれば、会計画面を見てお客様によるミスかどうか確認できますが、そうでない場合、万引きの可能性も考えてしまい、紛らわしいんです。防犯カメラをチェックしたこともありました。現場では人手不足で猫の手も借りたいくらいなのに、手間が増えるばかりで困っています」(Dさん)
人の目が届きにくいため、セルフレジは「途中でやめる」という決断がしやすいのかもしれない。セルフレジ導入で店側は人件費抑制につながっている面もあるだろうが、一部のマナーの悪い利用者の対応に苦慮している側面もあるようだ。
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