( 294382 )  2025/05/27 06:13:09  
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「備蓄米を5キロ2000円程度」は、実現できるのでしょうか?小泉農水大臣は26日、随意契約で大手スーパーなどを対象に契約を開始すると発表しました。 

 

■コメの価格 過去最高値を更新 

 

井上貴博キャスター: 

コメのスーパー販売平均価格は、この1年で倍以上となり、5月5日〜11日の販売平均価格は5キロ=4268円となっていました。また、新たに入ってきた5月12日〜18日のスーパーでのコメ販売価格は、過去最高値を更新し、5キロ=4285円となりました。 

 

この価格をどう打開して行くのか。その先頭に立っているのが小泉農水大臣です。 

 

小泉進次郎農林水産大臣は26日、放出する「備蓄米」について「一般的なマージンを踏まえて試算をすれば、小売価格では5キロあたり2000円程度となる水準」とし、備蓄米の店頭価格を5キロ2000円程度を目指すということです。 

 

4000円を超える銘柄米、3000円台の輸入米、さらに2000円程度の備蓄米と、消費者の選択肢が増えるのは、良いことだといえるのでしょうか。 

 

経済アナリスト 馬渕磨理子さん: 

価格を選ぶ形になるかと思いますが、小さな小売店などにしわ寄せが行くのではないかなど、懸念点はあります。消費者としては選択肢が増えることはありがたいことですよね。 

 

出水麻衣キャスター: 

銘柄米の4000円と備蓄米の2000円、差額が2000円となります。その差額で、他の生鮮食品が買えますし、1回分の買い物になるので、安いものはあればあるだけ助かると思います。 

 

■「随意契約」の条件「年間1万トンの取り扱い」ができるスーパーの規模は? 

 

井上キャスター: 

政府が価格設定するので実現できると思われますが、その後の懸念なども見ていきます。 

 

今回、備蓄米を計30万トン放出します。過去3回で合わせて約30万トンほどの備蓄米を放出していますので、今回は1回で結構な量を放出することが分かります。 

 

小泉進次郎大臣は、需要があれば、無制限放出の可能性も示唆しました。また、▼買い戻し条件の撤廃、▼売り渡し方法を競争入札から随意契約へ変更し、26日からメールでの受付を開始するということです(先着順)。 

 

 

これまでの流通ルートは競争入札でした。備蓄米がJAなどの集荷業者に渡り、卸売業者に渡って小売店で販売されて、消費者が手にします。 

 

小泉大臣は「これまでと同じやり方をしていては、国民の期待に応えられない」として、随意契約に変更しました。 

 

随意契約に変えると、備蓄米は直接、小売店に売り渡されます。しかも、輸送料は基本的に国が負担するということが表明されています。 

 

JAなどの集荷業者、卸売業者などの中間マージンのコストカットが可能で、より安い価格で、スピードアップして販売ができるということです。 

 

しかし、随意契約における備蓄米の取引業者には、「年間1万トンの取り扱いがある大手スーパーなど」という条件があります。 

 

スーパーアキダイの秋葉社長によると、「スーパーアキダイでの年間の取り扱いは10トンほどなので、今回の随意契約は対象外」だということです。 

 

スーパーアキダイも対象外ということで、「年間1万トンの取り扱い」が、いかに大規模のスーパーに限られるかが分かるのではないでしょうか。 

 

2000円の備蓄米の取り扱いは大手スーパーなどに限定され、都市部に備蓄米の販売が集中するおそれがあります。 

 

「地方との格差があるのでは」という懸念もありますが、政府としては、まずは大手スーパーに集中して、そこから条件を緩和していく、まずはスピードだということですが、今後は公平性が問われそうですね。 

 

経済アナリスト 馬渕磨理子さん: 

今まで値段を統制したり、放出量を統制するという「調整の経済」をやってきました。今になり、市場経済に委ねるようなことで、このあたりでチグハグが起きています。 

 

今の段階で私が思うのは、都道府県の人口に応じて分配していくなどをしないと、大手が買い占めることができるので、小さな店舗は買い負けしてしまうが起きることも十分に想定できます。 

 

都道府県あるいは市町村などに比例して、配布していくようなことはできないのだろうかと思ってしまいます。 

 

 

出水麻衣キャスター: 

最近はスーパーでデータを取っているので、年間のコメ販売量の何割かは必ず買えるような仕組みにするなど、公平に、様々なところに行き渡るような形にして欲しいです。 

 

■「スペシャルチーム」発足でどう変わる? 

 

井上キャスター: 

“不公平感”という点については、小泉大臣も「1万トン扱えない、もう少し小規模なスーパー、こういったところの対応をどうするかというのは絶対に出てくると思う」と話しています。 

 

26日に発足した「スペシャルチーム」で態勢を整える方針だということです。 

 

▼事務次官がチームのトップとなり、▼地方農政局の人員を含め、約500人規模のチームだといいます。 

 

宇都宮大学農学部の松平尚也助教は、「集荷業者や卸売業者への中間マージンがかからなくなるため、2000円程度の店頭価格は可能だと思う」としています。早い段階に契約すれば、6月上旬にも実現できるのではないかということです。 

 

また、今まで“売り渋り”されていた備蓄米が市場に流通していくと、店頭の販売量が大幅に増え、消費者の選択肢がさらに増えていくと考えられています。 

 

経済アナリスト 馬渕磨理子さん: 

随意契約のものは、2000円程度で流通すると思います。 

 

消費者目線で言うと、「ブレンド米」というものをあまり好まない国民性があったと思います。「“〇〇産コシヒカリ”ではなくても、混ざってるものでもいい」ということが、今回のコメ価格高騰をきっかけに浸透するのではないでしょうか。 

 

井上キャスター: 

これが第一段階ですが、本丸としては減反政策・生産調整を続けてきたものをどう変えるのかというところを見てみたいですね。 

 

経済アナリスト 馬渕磨理子さん: 

抜本的改革ですね。日本が輸出するところまで、米農家が稼ぐことが出来るようになるまで、改革できるのか見てみたいですね。 

 

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<プロフィール> 

馬渕磨理子さん 

経済アナリスト 

日本金融経済研究所代表理事 

“日本一バズる”アナリスト 

様々なお金の話をわかりやすく解説 

 

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