( 294602 )  2025/05/28 06:02:24  
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一世を風靡した「ヤクルト1000」はブームが去り低迷。糖質オフ商品を投入も、初動はカニバリゼーションに苦しんだ(編集部撮影) 

 

 一世を風靡した大ヒット商品「ヤクルト1000」が“曲がり角”を迎えている。 

 

 乳酸菌飲料を主力とするヤクルト本社が5月13日、2025年3月期(2024年度)決算を発表した。売上高は前期比0.7%減の4996億円と横ばいながら、本業の儲けを示す営業利益は同12%減の553億円と減益で着地。期初に計画していた売上高5335億円、営業利益685億円には及ばない結果となった。 

 

 売上高や営業利益の約半分を占める海外事業は、低迷が続いていた中国の回復や、米州における販売増、円安の追い風などに支えられ好調だった。一方で足を引っ張ったのが国内事業だ。主力の国内飲料・食品セグメントは、売上高が前期比3.6%減の2429億円、営業利益に至っては同24.4%減少し、374億円となった。 

 

■待望の新工場で増産したが… 

 

 国内低迷の背景にあるのが、「Yakult(ヤクルト)1000」(宅配品)と「Y1000」(店頭品)からなるヤクルト1000シリーズ(以下、1000シリーズ)の苦戦だ。 

 

 ヤクルト1000が全国発売されたのは2021年。「睡眠の質向上」や「ストレスの緩和」をうたう機能性表示食品で、マーケティング戦略の奏功やタレントによるテレビ番組での紹介をきっかけに、一時は供給が追いつかなくなるほどの大ヒットをみせた。 

 

 こうした流れを受け、ヤクルト本社は2024年度、ヤクルト1000の販売計画を前期比6%増の1日当たり230万本、Y1000を同27%増の130万本に設定。だが、結果はそれぞれ196万本、105万本と未達に終わった。 

 

 ヤクルト本社が高い目標を立てていたのは、新しい顧客の獲得が進む算段が立っていたからだ。 

 

■顧客増も販売数量増えず 

 

 1000シリーズの生産能力は、2023年度の途中まで十分ではなかった。そのため在庫を切らすリスクを避けるには、ヤクルトレディが新規客を獲得するための営業活動や、店頭での販促活動に対して制限をかけざるをえないという状況が続いていた。 

 

 

 そんな中、2024年1月、静岡県で富士小山新工場が稼働。これで2024年度には、フルにアクセルを踏んだ営業や販促が可能となり顧客獲得が進むとみられていた。 

 

 しかし、ふたを開けてみると、顧客数が増えても既存客1件当たりの販売本数が減少するなどして、全体的な数量の拡大には至らなかった。店頭品については、習慣的な飲用を促すために力を入れた6本パックの配荷・販促が効き、数量は増加した。 

 

 ただ、継続的な購入に至らなかったライトユーザーが、計画以上に離反してしまったのである。 

 

本記事の詳細版は、東洋経済オンライン有料版記事「業績を牽引してきた「ヤクルト1000」シリーズはブームが一巡・・・ 新商品「糖質オフ」は新規客の獲得進め、販売数量を回復させられるか」でご覧いただけます。 

 

田口 遥 :東洋経済 記者 

 

 

 
 

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