( 295728 )  2025/06/01 06:46:54  
00

消費税減税は参院選の争点の一つになりそうだ=4月、東京都練馬区のアキダイ関町本店(斉藤佳憲撮影) 

 

石破茂首相は5月下旬、食品にかかる消費税をゼロにした場合、スーパーなど流通店舗の対応に「1年はかかる」と発言した。産経新聞が全国に店舗を持つ大手流通企業に消費税率変更への対応について聞いたところ、首相の発言通り、1年以上かかるとの回答もあったが、「3カ月くらい」と答える会社も。参院選で立憲民主党は公約に食料品の消費税率を1年間限定で0%にする案を盛り込む予定で、コメ価格引き下げと並ぶ大きな争点になるのは必至。機動的に消費税率を変える政策の是非を考えるうえで、企業側の負担も一つの判断材料となりそうだ。 

 

首相は5月21日、立民の野田佳彦代表との党首討論で消費税の減税について、「スーパーの経営者の方に聞いてみてください。(対応に)どれくらいの期間がかかるのか。それは1年はかかりますって私あちこちで聞いています」と話した。 

 

この発言を受け、SNSでは「そんなにかかるはずがない」と批判の声が噴出した。 

 

ある大手流通企業の担当者は、「システムやオペレーション対応が大変になるほか、値札やPOP(販促ツール)の貼り替えが厄介。会計処理やシステムにも影響があるだろう」とコメント。ただ、対応にかかるのは3カ月くらいだとした。 

 

他の大手流通企業は、「レジの税率変更に加え財務会計、管理会計など多くの社内システムに影響を与える。テスト期間を含めると1~2年は準備期間が必要だ」と首相の発言を肯定。費用については、「過去の税率変更の経験から、数十億円かかるだろう」としている。 

 

企業にPOS(販売時点情報管理)システムを提供するITベンダーの大手企業によると、顧客の企業規模によっては対応に数週間かかる場合もあるが数カ月もかかるものではないという。店舗側が端末を操作して税率の設定を変更できる場合もあるとしている。ただ、全国に多くの店舗を持つ大手にとってはシステム対応以外に必要なことも多く、一定の期間やコストがかかることは否定できないようだ。 

 

■「消費喚起」に期待の声も 

 

 

消費税減税という措置自体については流通企業から、「市場全体の消費が喚起される。税込み表示をしている当社にとっては、安さのイメージが付きやすくなる」と、期待する声が上がった。 

 

野田氏は産経新聞のインタビューで、機動的な消費税減税に関連して「雨が降っているときは傘を差し、雨がやめば傘をたたむという柔軟な税財政運営をできるような国にしなければいけない」と持論を展開した。石破首相は党首討論で、食料品の消費税率を0%とする立民案は「選挙目当てに過ぎない」と批判している。 

 

 

 
 

IMAGE