( 296093 ) 2025/06/03 04:03:14 0 00 猪瀬直樹議員
2日、参議院予算委員会にて日本維新の会の猪瀬直樹議員が膨張を続ける医療費について石破総理を追及した。
まず、猪瀬議員は5年前から毎年1兆円ずつ医療費が増えて現在48兆円になっていることを引き合いに出し、自民・公明・日本維新の会が3党合意したOTC類似薬(市販薬と効果やリスクが似る薬)の保険給付のあり方見直しを来年度予算編成のベースとなる「骨太の方針2025」に盛り込むことを石破総理に求めた。
これに石破総理は「それは政党間の協議なので、内閣総理大臣として答えることが適切とは思わないが、問題意識は全く共有をしている」と答えた。
続いて猪瀬議員は「(写真を見せながら)これは自民党のシップの議連、正確な名前は『医療用外用貼付剤』だ。医者にかかって保険適用でシップをもらう時の上限が2027年までは70枚、10袋。それが1袋減らして63枚、9袋になった。減らそうとして減らない。『もっと減らされたら困る』ということで、この議員連盟ができている。前に東大の薬学部がアンケートを取ったら押し入れにいっぱいある。こんなことをやると、全部それは処方箋のお金になって、調剤のお金になる。この“シップ議連”は積極的に活動しているようだが、閣議決定でセルフメディケーションで医療費を削減しようと決めている。こういう抵抗勢力と言っていいのか、圧力団体や与党の議連の意向が骨太の方針に影響を与えることのないように総理に確認したい」と述べた。
これに対し石破総理は「医療の質を落とさないで医療費を削減していかないと、医療そのものの持続可能性がなくなる。このままほっておくと国民皆保険を維持できなくなる可能性がある。そのことはよく認識しながら、医療の質を落とさないように、一部の利益で全体の利益を損なうことがないように政府として考慮していく」と答えた。
猪瀬議員は「一部の利益が全体の利益を損なうことがないようにということだ。70枚あるいは63枚もシップを保険料で負担する。現役世代の人がほとんど負担する形になるが、こういうことをやってたら本当に国が滅びますよ」と訴えた。
次に猪瀬議員は健康保険組合連合会による試算を引き合いに出し、「医療機関でOTC類似薬のみ処方されたケースの医療費の合計が65歳未満に限っても年間1兆円にのぼる。だから、65歳以上を入れたら2倍以上、2兆円になる。このOTC類似薬は、その名の通りドラッグストアでも同じ成分のOTC薬が買えるので、もしこの人たちが薬をもらいに医者にかかるのではなくセルフメディケーションをするようになれば、医療機関でかかる初診料、再診料、処方箋料、調剤薬局での技術料などの医療費が大幅に削減できる。1兆円規模の医療費削減の可能性があることを認めてもらえるか」と質問した。
石破総理は「ご指摘の健保連の試算も、その資料に『機械的な粗い試算であり、必ずしも処方の必要性を否定するものではない』と書いてある。だから、それを根拠に考えはないというつもりはない。これを試算として意味のあるものだと考えている。1兆円の可能性も私は否定をしない。そこにおいて、それを求める人たちにどれだけ適切な情報が提供されるかを担保することにおいて、OTCの普及は考えていかねばならない」と答えた。
石破総理
一旦ここで昼休憩を挟む形になったが、午後になっても猪瀬議員の勢いは止まらない。
猪瀬議員は「現役世代から高齢者へ“巨額な仕送り”をしている状況だ。保険は本来は自分のリスクに対して払うものだが、前期高齢者、後期高齢者への仕送りという構図になっている。実に8.4兆円の巨額になる仕送り、現役世代が血まみれになっていると理解した方がいい。年収350万円の単身世帯の所得税は7万円だが、それに対して医療費と年金で大体約50万円払っている。もし4兆円を削減したら、手取りが6万円増える。これは保険の公平原則から大きく乖離しているのではないか」と追及した。
石破総理は「それは結局、人口構成が若い人が少なくて高齢者の方が多いというところに起因するのだろう。保険の本質は、確かに自分のリスクを念頭に置いてやるものだ。だが、社会全体のリスクをどう負担するかという観点から考えた時に、やはり出生率は上がり、人口が増えるということを前提として作っている制度なので、若い方々が減っていくと、(猪瀬)委員ご指摘のような問題が発生するのだろう。そこをどのようにして社会全体のリスクを分担するかという観点から制度設計は、今後さらになされるべきものだ」と述べた。
猪瀬議員は「こんなたくさんシップを医者に言ってどんどん配っていっちゃうと、どんどん膨らんでいく。だから、そういうところをきちんと削りましょうということだ。世代だけの問題ではなくて、後期高齢者で応能負担をしていただく。ある程度お金を稼いでる人はきちんと払っていただくということも含めてやっていかなければいけない」と述べた。 (ABEMA NEWS)
ABEMA TIMES編集部
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