( 296398 )  2025/06/04 05:29:33  
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3日も各地で「備蓄米」の販売が行われました。備蓄米の残りは30万トンとされていますが、もし、これが底をついた場合、コメの価格はどうなるのでしょうか? 

 

■残りは30万トン 4回放出された“備蓄米” 

 

山形純菜キャスター: 

現在、備蓄米が放出されていますが、これから新米が出てきたら、その価格に影響はあるのでしょうか。 

 

2025年1月時点で、91万トンあった政府の備蓄米。 

 

異常気象の影響などで、2024年秋にコメが品薄になり、価格が高騰したことに対応するため、政府は備蓄米を入札によって放出することを決めました。 

 

入札による放出はこれまで3回行われ、合計約31万トンの放出を決めています。 

(1回目:約14万トン、2回目:約7万トン、3回目:約10万トン) 

 

ただ、なかなか消費者のもとにコメが届かず価格も落ち着かないということで、随意契約による備蓄米の放出を決め、約30万トン放出することが決まっています。 

 

政府の備蓄米は、残り約30万トンということになります。 

 

■AI予測「新米の価格は高止まり」が高い確率 

 

山形キャスター: 

現在、店頭にはさまざまな価格のコメが並び、消費者の低価格志向が広がる中、新米が出る秋以降、価格はどうなるのでしょうか。 

 

第一生命経済研究所の柏村祐 主席研究員が、新米の価格をAIを使って予測しました。 

 

AIの分析によると、価格に影響する4つの要素があるということです。 

 

【AIの分析】価格に影響する4要素 

・低価格志向が続くか 

・備蓄米の放出の効果 

・世界の穀物市場と生産コスト 

・天気とコメの出来具合 

 

その上で、AIは「新米価格」として「高騰」「高止まり」「緩和」の3つのシナリオを提示しました。 

 

「高止まり」60% 

▼平均的な気温、 ▼計画的な備蓄米の放出という条件つきですが、備蓄米を放出しても、価格の下落は限定的で高止まりすると予測。 

 

「高騰」15% 

▼深刻な異常気象が続く、▼備蓄米が底をつき放出不可という条件つきで、新米が5000円近くなると予測。 

 

「緩和」25% 

▼天候に恵まれ豊作が続く、▼「随意契約」の効果的な活用ができるという条件で、今より価格は下がっていき、3500円程度になると予測。 

 

井上貴博キャスター: 

備蓄米放出は根本的な対策ではなく、対症療法を行っているだけです。 

 

農政の抜本的な改革まではAIも考慮していないはずなので、この予測をそのまま受け取るのは違うかもしれませんね。 

 

 

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん: 

私は大きく二つあると思います。 

 

一つは、農林水産省が持っているデータです。コメの需要に応じて供給するということです。 

 

データを読み間違えてしまうと、インバウンドや作りすぎなどで、多い・少ないとなってしまいます。 

 

二つ目は、作る工程で効率を求めるべきだという点です。海外ではテクノロジーを活用して、同じ面積でもできるだけたくさんのコメが育つようにしています。 

 

■「コメの増産」 4つの課題 

 

山形キャスター: 

コメの政策について3日、小泉大臣は大きな転換に向け「基本的には増産をする」「今年度中に基本方針を打ち立てる」と発言しました。 

 

コメの増産は本当にできるのでしょうか。 

 

東京大学の鈴木特任教授によると、日本のコメには現在、4つ課題があるといいます。 

 

●生産者減少:高齢化や担い手不足 

●減反政策廃止:しかし、生産量は戻らず 

●肥料や燃料など、コストの高騰 

●猛暑などの異常気象:生産量が不安定 

 

これらの課題をどう乗り越えていくかというところです。 

 

出水麻衣キャスター: 

データをきちんと取って、「これくらいコメを作れば売れる」という心理的な安心感があれば、農家も増産に舵を切ることができると思います。 

 

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん: 

どんなビジネスでも、需要と供給がベースにあります。 

 

データが正確ではないと、バランスが取れていたものもインバランスになってしまいます。 

 

井上キャスター: 

農家からしたら、今まで政府の要請で生産調整してきたのに、いきなり増産という形で、「なぜ振り回すの?」という思いでしょう。 

 

時間はかかるかもしれませんが、増産して輸出して、国内が緊急事態の際は輸出分を国内に回すというような稼げる農業にしないと、若者に継いでもらえないと思います。 

 

ゆくゆくの日本の農政はどうみていますか。 

 

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん: 

コメは日本人の心に身近で非常に大事なものです。 

 

ドローンで種をまく、GPSを使って田植え機を無人にするなど、テクノロジーを使うとなると「心がこもっていない」「魂がこもっていない」となりがちですが、味にはあまり関係がありません。 

 

なので、テクノロジーを活用しない手はないのではないかと思います。“心”という点は度外視してでも、優先すべきなのではないかと考えます。 

 

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<プロフィール> 

ハロルド・ジョージ・メイさん 

プロ経営者 1963年オランダ生まれ 

現パナソニック・アース製薬の社外取締役など 

 

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