( 296483 )  2025/06/04 06:57:40  
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ライトアップの光に輝く大屋根リングとパビリオン=4月21日、大阪市此花区の夢洲(本社ヘリから、恵守乾撮影) 

 

2025年大阪・関西万博のシンボルである大屋根リングの保存案が波紋を広げている。現在保存が検討されているのは一部にとどまり、再利用分などを合わせても、残りの大半は産業廃棄物となる見通しだ。ギネス世界記録に認定された世界最大の木造建築物を称賛する海外パビリオンの関係者は少なくなく、リングの大半が処分されることに批判や疑問の声が出ている。 

 

「リングの上にあがり、会場を半周した。驚くべき建築物で、衝撃を受けた。日本の職人技を体現している」 

 

5月下旬、オランダのベルイヤーツ経済相は産経新聞のインタビューに興奮した様子で語った。 

 

「素晴らしい光景。まるで京都の清水寺のようだ」。欧州の海外館関係者もリングを称賛する。別のアジアの国では自国に同様の建物を建設できないか、模索する動きも出ているという。 

 

柱と梁(はり)を組み合わせる日本の伝統的な貫(ぬき)工法を活用したリングは格子状の幾何学模様を生み出し、海外の人たちに強い印象を与えている。それだけに、大半が廃棄される見通しの現状に違和感を訴える関係者も。 

 

「壊すなんて本当にもったいない。ギネスに認定されたから、もういらないとでも言うのか」 

 

欧州のある政府関係者はそう語り、現在の一部保存案に疑問を呈する。この国は資源のリサイクルに積極的で「私たちはそもそも、修理しながら使い続けることを前提に物をつくる。直前に開催されたドバイ万博のパビリオンなども大半が残されているではないか」と訴え、日本側に再考を求めた。(黒川信雄) 

 

 

 
 

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