( 296698 ) 2025/06/05 06:01:58 0 00 こんなに稼いでいるのに…年収1,200万円・家賃28万円・ドイツ車所有の31歳営業マン、勝ち組のはずが「口座残高ほぼゼロ」の窮地。再会した“地味に暮らす友人”を羨んだワケ
仕事の成果が評価され、昇給していく――これは会社員にとって、大きなモチベーションのひとつです。しかし、収入が増えたからといって生活レベルを過剰に上げてしまうことには要注意。場合によっては生活が立ち行かなくなることもあります。31歳の外資系企業に勤める営業マンの事例と共に、詳しく見ていきましょう。
外資系IT企業で働くAさん。都内の有名私大を卒業後、中堅商社に入社し、その後2度の転職を経て、31歳で年収1,200万円に到達。スーツはオーダー、家賃28万円・駐車場付きの1LDK、愛車はドイツ車──誰が見ても順風満帆な人生でした。
就職を機に一人暮らしを始めた当初は、駅徒歩11分の6畳1Kで家賃8万円。節度ある暮らしをしていたAさんですが、昇給と転職で収入が増えるたびに、生活水準も右肩上がりに。「この年収ならこれくらいは普通」と、住まいも服も交際費もアップデートを続けていきました。
移動はタクシーが当たり前になり、週末は話題のレストランで食事。ブランド品や高級腕時計の購入も「資産価値があるから、安物を買うよりいいから」と、迷いはありませんでした。
そしてついに、月々の固定費は50万円超に。そのほかの突発的な支出も合わせると、生活の維持には成果連動型のインセンティブと賞与が不可欠になっていました。収入が高いのに口座残高が30万円を切ることもある……。そんなギリギリの状態が常態化していたのです。
そんな中、Aさんは担当プロジェクトの目標達成に失敗。賞与は前年の半分以下に激減しインセンティブもなし。Aさんにとって、初めてともいえる大きな苦境です。そして、一気に資金繰りが苦しくなりました。
いつも通りの支出に入ってくる金額がまったく見合わず、カードやローンの支払いをリボ払いに変更したり、キャッシングでお金を工面したり……。貯金がないという現実が、ここにきて重くのしかかりました。高収入に胡坐をかいてきた生活のツケが、突然襲ってきたのです。
ここでAさんは、漠然とした不安とともに「この生活を続けていていいんだろうか」という気持ちを抱えるようになりました。
そんなとき、大学時代の友人・Bさんから久しぶりにLINEが届きます。サークル仲間で気の合った友人でしたが、卒業後は地元の企業に就職し、ここ数年は交流も途絶えていました。誘われるまま再会した週末、Aさんは久しぶりに肩の力を抜いて人と話すことができました。
再会したBさんは、地方の中堅メーカーに勤め、早々に結婚して郊外に一戸建てを購入。子育てと家計を夫婦で支え合いながら、計画的に暮らしている様子でした。
Aさんが今の仕事の話をすれば、「さすが俺たちの代の出世頭」「服も時計もすごいもんな、本物の勝ち組だよ」そう褒めたたえられ、悪い気はしません。
「俺の方は、家も買ったし先々の貯金もあるし、小遣い3万円だよ」と笑って話すBさんに、以前のAさんなら「自分とは違う世界に生きている」と感じていたはずです。実際、SNSでもBさんがするのは生活感あふれる投稿ばかりで、派手さや華やかさとは無縁の暮らしでした。
ところがその日、Bさんの言葉や表情、暮らしぶりからにじみ出る安定感と満足感に、Aさんは羨ましさを感じました。自分の生活は、華やかだけれど不安定。高級な物に囲まれていても、心は落ち着かない。自分は本当に「豊か」と言えるのだろうか──。
「たくさん稼いでいるんだから、これくらいの暮らしが当然」。そうやって、収入が増えた分支出を増やしてきたAさん。その結果、見た目だけリッチな人間になっていることに、ようやく気付いたのです。
この経験をきっかけに、Aさんは暮らしを見直す決意をします。まずは家賃を大幅に下げ、都内で暮らす分には必要がない車は売却。見栄のために買っていた高級品にも手を出さず、自炊や読書に時間を割くように。交際範囲も、広く浅い付き合いから、気心の知れた人との関係にシフトしました。
そして、あるお金をすべて使う生活から、しっかりと貯金する生活へ。外資系で働き続けるのであれば、また収入が減ったときのことも考えておかなければなりません。
そうして気づいたのは、生活をスリムダウンし、変化させたことによるストレスや不満はほとんどなかったということでした。
「これまで本当に、必要のないものにお金を使っていたんだな……」
収入が上がると、つい「それに見合う生活を」と考えてしまいます。もちろん、そのすべてが悪いわけではありません。稼いだ分、生活を豊かにしたいと思うのは当然でしょう。しかし、それが度を越えたものであったり、他人の目を気にした消費でしかなかったりするなら、話は別です。
本当に大切なのは、高収入かどうかではなく、その収入をどう使い、どんな生活設計を描くかという視点です。どれほどの年収があっても、支出がそれを超えていては安定も安心も得られません。
「お金を貯めたいなら、収入が上がっても生活レベルは以前と変えず維持すること」……これも、あらゆる節約系書籍で言われていることです。
外資系勤めでなくても、いつ「安定」が崩れるかわからない時代。目先のステータスや見栄ではなく、未来を見据えた堅実な生き方こそが、これからの時代の賢さなのかもしれません。
THE GOLD ONLINE編集部
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