( 296828 )  2025/06/06 03:44:33  
00

炊きたての白米※写真はイメージ 

 

 5日に放送されたテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に、元JA全中常務理事で「新世紀JA研究会」常任幹事を務める福間莞爾氏が生出演し、コメの流通のあり方をめぐり、番組レギュラーコメンテーターを務める元テレビ朝日社員の玉川徹氏らと激論をかわすシーンがあった。 

 

 この日は、恒例のパネルコーナーで「元JA全中常務理事が語るコメの適正価格とJAの実情」をテーマに、出演者が討論。過去3回行われた一般競争入札による政府備蓄米放出と、小泉進次郎農相が行っている随意契約による放出のスピード感の「格差」なども話題になった。 

 

 玉川氏は、「JAが今まで担ってきた流通は『早く届ける』ということは目的に入っていない。今回は政府が、コメの値段の高騰を受けて早く届けたかったから早い方法を取った。早くないから悪だという話はないと思う。JAを悪者にしてもしょうがない」と、一部で声が上がるJA批判に疑問を呈した。一方で「ただ、小泉大臣もコメの流通は複雑だという話をされている。当然ながら中間マージンが少なければ少ないほど、最終価格は安くなる」とも指摘。今回、随意契約の備蓄米放出に申請したディスカント大手「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が先月28日、進次郎氏にあてた意見書の中で、現在のコメ流通の問題点に言及し、集荷を担当するJAグループとの取引への参入障壁の高さや、集荷から卸業者に渡った後で「最大5次問屋まで存在するなどの多重構造」などに触れたことも、パネルで紹介された。 

 

 

 

 MCのフリーアナウンサー羽鳥慎一から「JAなどの集荷業者が小売業者と直接卸売価格を交渉することで中間マージンが省かれ、仕入れコストが減るのではないかとの指摘がある」と問われた福間氏は「私的に申し上げると、理屈が合わないという感じがする。もともと農協は協同組合で、中間マージンをできるだけ省略しようという考えが組織の目的。生産者のみなさんからは高く買って消費者の皆さんには安く提供する。一般の会社とは真逆のことをやっている。遅いも早いも、共同組織なのでみなさんの合意でやらないといけないので多少はあるかもしれない」と訴えた。一方で「余計なマージンをとっているとか、ため込んでいるとかいうことは全然ない」と否定した。 

 

 PPIH側の指摘については「自由ですから、ドンキさんが農家や農協とやろうと言えば、いくらでもできます。何の規制もない」と述べたが、玉川氏は「消費者に安く届けようというのが農協の使命としたら、今までの取引のある1次問屋に卸したら、2次、3次、4次、5次とぶら下がっているところを全部通るから高くなる、というのがもし見えるとすれば、例えばドンキに卸してもらえばすぐ小売りとしてやりますよ、消費者に安くいきますよ、と言った場合はJAはどうするんですか?」と指摘。これに福間氏は「元々、1次から5次まで(問屋がある)と言われるが、理由があって存在している。理由のない組織はありません。意図的につくっているわけではない」と反論した。「ドンキがそうやりたいと言ったら、JAはどうするんですか」とたたみかけられると「そういうことをやっても、同じことになると思う」と訴えた。 

 

 

 

 玉川氏は「随意契約で今回、コメを直接大手スーパーが買ってそのまま消費者に出すことができたわけですよね」と指摘すると、福間氏は「それは『超高速道路』という(政府の随意契約の)仕組みがあったからできている」と反論。玉川氏は「(輸送の)お金は政府が出しているかもしれないが、流通を担っているのは流通業者。不可能ではない」とさらに反論したが、福間氏は「問屋があるのは、それぞれ理由があって、あるわけで。間に入っているから(価格が)高くなるんじゃないか、とか、そういう理屈はあまり通らない」と訴えた。 

 

 玉川氏は「今回、直接、間の問屋を飛ばしても実際に流通ができた」と現実を訴えたが、福間氏は「普通の場合は、(間の問屋を)通す『理由』があるんですよ」と反論。「(今回は)可能、不可能でいえば(中間の問屋を通さないことが)可能だった」と指摘すると、福間氏は「いやいや。それは『高速道路』には負けますよ」と言い返したが、玉川氏は「高速道路みたいな抽象的な言い方をしてはだめですよ」とたしなめるひと幕も。福間氏は「これは実体経済だが、今やっている31万トンは、実体経済には関係ない」と主張。「実体経済ですよ」と言い返す玉川氏との間で見解の相違が多数にじみ出た。 

 

 

 

 福間氏は「もちろん合理化はしないといけないと思うが、何次であろうとも、そこには存在する理由がある。持ってきたらさらに小分けや精米、包装などの役割分担がある」と持論を譲らず、「最大5次問屋まで存在する」と指摘された問屋の必要性を強調。これに、玉川氏が「うちは(1社で)全部できますと言ったらいいんですね」とツッコむと、福間氏は「それは理屈上の話。実際そうなるかどうかは分からない」と否定。「今回、実際にやっている」という玉川氏の主張にも「今回は制度上、そういう仕組みを作ったからできた。現在の流通と、高速道路の仕組みがごちゃごちゃになって話をされている。全部(中間問屋を)抜けばいいという話にはならない」と反論を続けた。 

 

 玉川氏は「ドンキが、大規模な生産者から直接買い付けて自分で流通をつくり小売りする方が、5次問屋まで通るようなJAの取った道より安く売りますということになれば、淘汰(とうた)されるのではないか」と指摘すると、福間氏は「それができるならどうぞ、おやりになればいい。自由経済ですから」と応じたが、流通のあり方をめぐる2人の議論はかみ合わなかった。 

 

 

 
 

IMAGE