( 296933 )  2025/06/06 05:42:21  
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「点呼なしは日常茶飯事」酩酊状態で配達も…日本郵便の運送事業許可取り消しへ 

 

年間約126億通の郵便物を届け、10億個あまりの『ゆうパック』を配達する日本郵便。 

 

国土交通省は、日本郵便が行う車両による一般貨物の運送事業について、許可を取り消す方針を明らかにしました。全国の営業所で、飲酒の有無や体調を把握する“点呼”が、適切に行われていなかったことが理由です。 

 

保有するトラックやワンボックスカーなど約2500台を、5年間にわたり動かすことができなくなります。大手業者に対する処分としては、極めて異例です。 

 

林官房長官 

「日本郵便が点呼業務を実施しないまま、貨物運送事業を行っていたことは、輸送の安全確保を揺るがしかねない」 

 

法令では、事業者に対し、運転手の飲酒の有無のほか、睡眠や疲労などの体調面について、原則、業務前と業務後に対面で確認することを義務付けています。 

 

日本郵便をめぐっては、全国の営業所で、適切に法定の点呼が行われていないことが発覚。全国3188の郵便局を対象に内部調査をした結果、75%にあたる2391の郵便局で、何らかの不備が確認されました。 

 

日本郵便 千田哲也社長(4月) 

「点呼不備は、全国的に発生しており、個別の郵便局で行った問題ではなく、会社全体の構造的な問題ということが、明確になっていると受け止めている。(点呼は)かなり昔から、不徹底が行われていたのではないか」 

 

去年5月には、神奈川県の戸塚郵便局の配達員が、業務中に白ワインを飲み、酩酊状態で配達。さらに、東京・芝郵便局に勤務する社員が、軽自動車での配送中に飲酒運転をしていたことが、先月下旬、発覚しました。飲酒運転をしていた社員は「風邪薬を飲んだため、アルコールが検知された」と点呼を行った人物に説明し、集配業務を行っていました。 

 

日本郵便は、飲酒運転について、4月中だけで、全国であわせて20件あったことも明かしました。前日の飲酒により、アルコールが残っていて、道路交通法上の飲酒運転にはあたらない程度のものも含まれています。 

 

日本郵便の調査結果報告書 

「点呼は面倒だから管理者がいるときのみやっていた」 

 

日本郵便は、再発防止策として「4月以降、点呼を局内の防犯カメラに映る位置で必ず対面で実施し、映像として証拠を残し、確認できるようにしている」としています。 

 

こうしたなか、国は4月、不適切な点呼が相次いだことを受け、特別監査を実施。その結果、119カ所の事業所のうち、82カ所で点呼について、事実と異なる記載が見つかりました。今月中にも、認可が取り消されるとみられます。 

 

国内の宅配便の取扱個数は、年間約50億。 

『ゆうパック』の取り扱い個数は、ヤマト運輸、佐川急便についで3番目。シェアは、2割ほどを占め、郵便事業への影響は避けられません。 

 

日本郵便によりますと、許可が取り消され、使用できなくなる2500台の車両は、全国に13カ所ある中継地点に各郵便局から集めた荷物を輸送するほか、その中継地点どうしの荷物の輸送に使われています。 

 

日本郵便は、車両が使用できなくなった場合、同業他社に輸送を委託することも含め、検討をしているといいます。 

 

日本郵便のコメント 

「郵便・物流事業という社会的インフラを担っている運送事業者として、その存立にもかかわる重大な事案であると受け止めています」 

 

日本郵便社内では、何が起きているのでしょうか。 

 

日本郵便の社員 

「(Q.前日の酒もチェックに反応する)歯を磨くときにアルコールの洗浄液を使うが、それでも反応すると思って、アルコールフリーに替えた。業務自体が、非常にひっ迫していて、超過勤務はするな、誤配はするな、交通事故はするなと言われているので、気持ちとしても焦る。法律自体に怒っているのではなく、会社の対応というか、現場に丸投げ」 

 

去年まで関東地方の郵便局に勤務の人 

「基本的には(点呼をする)時間がないということ。民間になって変わったわけではなく、人もどんどん辞めていた。基本的に人数アウトの状況でやっていた。人が十分にそろってる局は、先輩にもないと聞かされていた。点呼が行われていないのは、正直、日常茶飯事だった」 

 

 

日本郵便は、2007年の郵政民営化によって、日本郵政の子会社として、郵便局の事業を行う会社として発足しました。従業員数は、約17万人。貨物自動車運送など、13の子会社があります。 

 

日本郵便の郵便業務については、手紙やハガキなどの郵便物は、年間約126億通。『ゆうパック』などの荷物は、約43億個を取り扱っています。 

 

これらを運ぶのが、トラックやバイクなどで、主に郵便局間で荷物を運ぶトラックが約700台、ワンボックスカーが約1800台、あわせて約2500台。郵便局から私たち受取人まで荷物を運ぶ軽自動車や軽二輪車が、約3万2000台。さらに、原付きバイクが約8万3000台です。 

 

運送事業の許可が取り消されれば、トラックやワンボックスカーは使用できなくなります。軽自動車や軽二輪車は対象とはなりませんが、国交省は、監査の結果次第で、今後、行政処分を検討するとしています。 

 

日本郵便に聞くと、約2600台のトラックを保有する子会社の日本郵便輸送への運送委託や、同業他社への委託も含めて検討しているといいます。手紙やハガキなどの郵便物は、他社への委託が難しいので、日本郵便輸送への委託を検討。また、ドライバーについては、車両は動かせないので、配置転換も含めて検討するとしています。 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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