( 297378 ) 2025/06/08 04:14:12 0 00 小泉進次郎農水相
コメの価格高騰について、小泉進次郎農林水産相は6日の閣議後会見で「ある卸は利益が500%。どういうことなんだろうと、普通は思う」と述べ、集荷や卸など流通事業者の利益構造を明らかにする考えを示した。ある卸の担当者は「これまで低い利益率でやってきた。切り取りで悪者にされるのは我慢ならない」と猛反発する。小泉農水相は政府のコメ政策の失敗について、「民間の有識者による検証は考えていない」とし、身内に甘い姿勢をみせた。
小泉農水相は6日、「集荷業者、卸、小売り、それぞれの役割や現状をつぶさに説明していく」と述べた。木徳神糧が2025年1~3月期連結決算で、コメ事業の営業利益が約4・9倍になったことを念頭に、「なかなか500%の利益って」と批判した。
ただ、木徳神糧の24年1~3月期の営業利益率はわずか1・4%で、25年1~3月期は5・0%だった。営業利益率は一般的に、5%で優良企業、10%で超優良企業、15%だともうけすぎの懸念があるとされる。
小泉農水相はコメの流通について「複雑怪奇」というが、木徳神糧の利益の急増は、もともとの利益幅が小さいためにわずかの上昇で、上昇率が大きくみえるという〝簡単な算数〟の話でしかない。
小泉農水相の発言に、ある卸の担当者は「コメ卸は大量仕入れで大量販売するビジネス。これまで1~2%の利益率で、(5倍になっても)暴利といわれる水準ではない」と困惑の表情を浮かべた。さらに「調査をするというのなら、しっかり対応する」と話した。
コメは、スーパーでは特売品の目玉として重宝されてきた。あるスーパーの店員は「牛乳、卵、コメの『白物』は三種の神器」と話す。牛乳や卵の価格転嫁が飼料穀物の高騰や鳥インフルエンザの流行などに伴って進んできた中、コメだけは政府の価格維持政策もあり、安く抑えられてきた。
こうした小売の状況を受け、卸も薄利多売のビジネスモデルとなっている。「なかなか価格転嫁に応じてくれなかった規模の大きいコンビニや外食チェーンが、やっと、タイムリーに反映してくれるようになった。これまでは低い利益率、時には赤字を出しても、ルールを守ってきた」と悔しさをにじませた。
これまで失策を続けてきた農水省の対応について、小泉農水相は「率直に、何がうまくいかなかったのか、これをしっかりと分析をして、反省があれば率直に反省を述べて、前を向いていくのは当然」とした。現状は「今までの政策に対する反省などを、職員と率直に意見交換している」ところにとどまり、外部有識者による検証を行わない考えを示した。
強力な発信力で安い備蓄米の放出をアピールする小泉農水相だが、消費者が求めるコメ市場全体の価格下落はまだ達成できていない。身内の政府に甘いダブルスタンダードでは、民間企業を巻き込む形で熱狂を起こす〝小泉劇場〟の観客である国民は、冷めていく一方だ。(高木克聡)
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