( 297743 )  2025/06/09 06:03:03  
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写真はイメージです Photo:PIXTA 

 

 ライター業の傍ら、スキマバイトでさまざまな職場で働いている筆者が仕事を通じて見えた悲喜こもごもをつづる本連載。今回は、某大手企業の社員食堂で働いてみた。説明を受けて順調に業務をスタート、のはずが、なんだか雲行きが怪しくて……。(ライター みやーんZZ) 

 

● 社員食堂でスキマバイト! 食器の仕分け作業に挑戦 

 

 氷河期世代の40代おじさんである僕が去年、突如ハマったスキマバイト。今回の職場は、都内にある某大手通信企業の本社ビル内の社員食堂です。ランチタイムの仕事にチャレンジしました。 

 

 時間通りに勤務地に到着し、担当の女性マネージャーと合流。入館パスをもらい、エレベーターで社員食堂へ向かいます。窓からの見晴らしが素晴らしく、気分が高まります。 

 

 事務所で着替えをし、朝礼的なものに参加。社員やパートの方々に混じってこの日のランチの情報共有や声出しなどを実施しました。1日だけのスキマバイトですが仲間に入れてもらった感覚になり、面白いですね。その後、厨房に移動して食材の仕込みのお手伝い。メインプレートの脇にキャベツとマカロニサラダを盛りつけます。 

 

 この日はいつもよりもたくさんの来客が見込まれているらしく、通常よりも多めの仕込みが必要で現場は混乱気味。作業が食堂オープン時間までに終わらなさそうでしたが、協力してなんとか間に合わせることができました。 

 

 そして洗い場へ移動。女性マネージャーから業務説明を受けます。この食堂の洗い場はベルトコンベアー方式。お客様が食べ終わった食器をトレーごとベルトコンベアーに乗せると、それが自動的に食洗機に運ばれ、洗われるシステムです。 

 

 僕の仕事は食洗機に入る前の食器の仕分け作業。この仕分けをちゃんとやらないと食洗機が詰まってしまうので重要な仕事のようです。 

 

 「コップを取り除き、専用のカゴに並べる」「小皿やお椀は丼の中に入れる」「お箸・スプーンは別のカゴに仕分ける」「燃えるゴミ、燃えないゴミを分別してバケツに入れる」といった説明を口頭でざっくりして去っていった女性マネージャー。正直、あまり理解はできていませんが、「とりあえずやってみるか」と持ち場につくと、ベルトコンベアーでものすごい量の食器が流れてきます。 

 

 説明を思い返しつつ、一つ一つの作業をこなしていきますが、作業の優先順位などは一切伝えられておらず、手間取ります。 

 

 そんな中、食べ残しを燃えるゴミとして捨てていると洗い場のボス的なおじさまがキレ気味で登場。「食べ残しはそのまま! 食洗機で処理するからっ!」と威圧的に言ってきました。 

 

● 「詰まってるだろうがっ!」 ボスおじさまの“パワハラ指導”にうんざり 

 

 「そんな話は一切、聞いてませんが……」と思いながらも、「失礼しました」と返します。その後も、「流れるトレーの間隔を空けないと食洗機が渋滞して詰まるので適度にトレーを間引き、横に置け」「コップはカゴに5列に詰めろ」など全く説明されていないことを事あるごとにキレ気味でご指導くださる洗い場ボスおじさま。 

 

 作業のフォローはしてくれるのですが、全身で「こいつ、使えねえな」的オーラを発し、非常にパワハラチック……。こんな人、久しぶりに見ました。 

 

 とはいえ、僕にできることは目の前の食器たちをなるべくスピーディーに処理していくことだけ。コップを取り除き、小鉢やお椀を丼に入れ込む作業を優先的に行います。必死で対応しますが、大量に運ばれてきたトレーを処理しきれず渋滞発生。食洗機手前で詰まってしまいました。 

 

 「おい! 詰まってるだろうがっ!!」とまたブチギレてやってくるボスおじさま。そんなことを言われても、目の前の作業で手一杯なんですよ……。 

 

 

 その後も自分で「コップは5列に詰めろ」と指導したのに「もっとギッチリ(5列以上)詰めろ」と違うことを言ってきたり、「コップの中で1個だけ、上向きで詰めろって言ったよな?」と言ってないことを言ったテイで詰めてきたりと理不尽ムーブを連発します。 

 

 いい加減、僕もムカついて「上向き? そんな話は一切、聞いてないですけど!?」と反射的に言い返してしまいました。 

 

 とにかくこのおじさまの理不尽な言動は非常に不愉快。「どうせ使えないと思われているなら、わざと作業スピードを落として食洗機を詰まらせてやろうかな?」などとよからぬことを考えましたが、さすがにこちらも大人なのでグッと我慢。「今回だけのスキマバイトだ」と自分に言い聞かせ、心を殺して黙々と作業を進めます。 

 

 そうこうしているうちにピークタイムは終了。徐々に食器が流れるペースが落ち着き始めます。 

 

● 空虚に映る 「STOPパワハラ!」の文字 

 

 少し安心しながら作業をしていると、「ベルトコンベアーに隙間があるなら間引いたトレーも流せ。手を止めるな!」とまたボスおじさまからご指導が入ります。その通りに対応していると、今度は間引いたトレーを戻しすぎたのか、ベルトコンベアーの渋滞が発生して食洗機が詰まります。 

 

 「詰まってるぞっ!」とまたキレ気味に言ってきたボスおじ。「あなたが流せって言ったからその通りにしたら案の定、渋滞発生したんですけど。バカなのかな?」と思いつつも、「すいやせーん」と謝る僕、エラいぞ……。 

 

 これ以外にもいろいろ理不尽なことを言われまくりましたが、グッとこらえてなんとか4時間のお仕事を乗り切りました。事務所に戻って着替えをしていると、更衣室のドアに「STOPパワハラ!」というポスターを発見。 

 

 「あのおじさんにはこのポスター、全く目に入ってないんだろうな。周りの人たちもあのパワハラ的言動を誰も止めようとしなかったし、マジで無意味じゃん。労基に通報しようかな?」などと妄想をしながら退勤したのでした。 

 

 

 ちなみにこの食堂を運営しているのは、某大手通信企業から業務委託されている別会社。ただ、こんなことが起きると、委託元の某大手通信企業自体に嫌悪感を覚えます。実際、この会社のサービスを利用していましたが、これ以降は別の会社に乗り換えてしまいました。 

 

 スキマバイトがきっかけでユーザーが1人減るなんて非常にもったいないですけど、仕方ないですよね。「御社の社員食堂でこんな行為が横行していますが、ご存じですか?」とお知らせすればよかったかもしれません。 

 

● レビューチェック超重要! “ハズレ職場”に要注意 

 

 そんなモヤモヤを感じながら、アプリでこの職場で働いたことのある人のレビューをチェックします。すると「威圧的な人がいた」「とても嫌な体験をした」という感想を発見。「やっぱりみんな、同じ体験をしたんだな」と納得しました。 

 

 僕が事前にこれを見ていたら、たぶん申し込んでなかったでしょうね。スキマバイト申し込み前のレビューチェック、超重要です。 

 

 ともあれ、僕も次の犠牲者を生み出さないよう、それなりに慎重に言葉を選んで「こんな嫌な体験をした。改善してほしい」ということを書いておきました(あまり露骨に書くとレビューを消されることがあります)。 

 

 心の底から「STOPパワハラ!」と願ったお仕事でした。 

 

みやーんZZ 

 

 

 
 

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