( 298153 ) 2025/06/11 03:41:08 0 00 JA出身の野村哲郎元農相 ©時事通信社
「週刊文春」(6月12日号) が報じた、JA関連団体から野村哲郎元農相(81)への約7000万円にものぼる巨額献金の実態。「週刊文春」はこれまでにも、JA、農水族、農水省の深い癒着関係を報じてきた。
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政府は今春から備蓄米の放出を始めたが、スーパーに並ぶ5キロ入りのコメの多くは4000円超え。前年のほぼ2倍で推移している。
「JAの要望に基づき、コメの生産量をコントロールする減反政策を実質的に継続してきた結果、高水準の米価が維持されることになりました」(農水省関係者)
なぜ、農水省はJAの要望を受け入れてきたのか。
「JAの関連団体が事実上、農水官僚の天下り先になっているからです。この癒着の構図が結果的にコメ不足を招いていると言っていいでしょう」(同前)
そもそも2005年には、時の小泉純一郎政権が全農改革に着手。農水省は「全農改革チーム」を発足させ、ワーキンググループの資料では〈農林水産省の幹部職員が全農の役員に就職するという、いわゆる「天下り」は今後とも行わないということをこの際明言する〉などと宣言していた。
ところが、内閣官房の公表資料を精査すると、確認できる2009年以降だけで、28人の農水省職員がJAの関連団体に再就職していることが判明したのだ。これについて、農水省に見解を尋ねたところ、以下のように回答した( 「週刊文春」3月13日号 )。
――なぜ、根絶宣言をしたにもかかわらず、JA関連団体への天下りを再開したのか。
「農林水産省は、経済事業のあり方の検討方向に関する検討の中で、『農林水産省の幹部職員が全農の役員に就職するという、いわゆる「天下り」は今後とも行わないということをこの際明言する』としており、その後、平成19年(2007年)の国家公務員法改正によって現職職員による再就職あっせんが全面禁止されたことから、現職職員によるあっせんは行っておりません。このため、農林水産省は、個々の退職者の再就職の経緯について、国家公務員法に基づく再就職に係る届出制度の対象である離職後2年以内のOBについては届出の範囲内で承知していますが、それ以外のOBについては承知していません」
――減反政策を推進する農水省とJAの癒着がコメ不足を加速させているのでは?
「いわゆる減反政策については、平成30年(2018年)産より終了し、現在は、農業者や産地の自らの経営判断による『需要に応じた生産』を基本としているため、ご指摘には当たりません」
そして、 「週刊文春」(6月12日号) で明らかになったのが、冒頭で挙げたJAから野村氏への巨額献金だ。随意契約による備蓄米販売を断行した小泉進次郎農相(44)に対して「自分で決めて自分で発表してしまう」と苦言を呈し、物議を醸していた人物である。
「野村氏がJA鹿児島県中央会出身の議員であることから、露骨なJA擁護であるとの批判が殺到しました」(自民党関係者)
そんな野村氏の収支報告書(過去10年分)を紐解き、JAとその関連団体からの資金の流れを精査すると、資金管理団体「彩燿会」が計2100万円の寄付を受けるなど、総額7000万円近い“JAマネー”が注入されていたのだ。野村氏は、多額の献金とJA寄りの姿勢との関係について「そんなことない」などとした。
こうした報道を受け、SNSでは批判の声が上がっている。
〈「どこまでもズブズブだな!」「JAは誰の生活を支えているのやら」
「JAの関連団体から献金を受け取ることに問題はないんだけど、JA重視、消費者軽視の度が過ぎるんだよな。バランスよくやるべき」〉
JA、農水族、農水省の深い癒着関係は、日本の農業政策に大きな影響を与えている。消費者の利益よりも、JAや一部の農家の利益が優先されているという指摘もある。この問題の解決には、農業政策の抜本的な見直しと、透明性の確保が必要不可欠だと言えるだろう。
この問題が今後どのように展開していくのか、そして日本の農業政策にどのような影響を与えるのか、注目が集まっている。
「文春オンライン」編集部
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