( 298203 ) 2025/06/11 04:37:30 0 00 国民民主党からの参院選出馬会見を行う山尾志桜里氏(撮影・野上伸悟)
山尾志桜里元衆院議員(50)は10日、国会内で会見し、国民民主党から夏の参院選比例代表に出馬することを公の場で初めて説明した。しかし、質問は議員時代の不倫報道に集中。山尾氏は事実関係には触れず、当時の対応に「おごりがあった」と陳謝したが、「納得できない」などの指摘が相次いだ。山尾氏は、自身の存在が党勢失速の一因との認識を示したが、出馬辞退は否定。2時間半にわたった会見でも負のイメージ払拭(ふっしょく)に至らず、党勢拡大がかかる戦いの行方に不安を残した。
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5月14日の公認内定発表から約1カ月。100人近い報道陣が集まった国会内の会議室にようやく現れた山尾氏がまず語ったのは、出馬の理由ではなく「過去の反省」だった。
特に、政治家人生を一転させた、2017年の衆院議員時代の不倫報道。山尾氏はこの時、男女関係は否定しながら、当時所属した民進党に離党届を提出した。この時の会見で山尾氏は自身の言い分だけ主張し質疑に応じず、「逃げるんですか」という記者の声を振り切って「逃亡」した経緯がある。
この日は「8年前の自分の行動と対応の未熟さを、おわび申し上げます」と謝罪。ただ、不倫報道の事実関係は「今、新しく言葉をつむぐことはご容赦をいただきたい。いろいろな思いの方がおられる」と、言及しなかった。8年前の会見では「そうした事実はない」と答え、今回も同様だと主張。「(報道で)指摘された方と、私生活、仕事で、現在、特段交流はない」と訴えた。
あれから約8年。そして公認発表からまもなく1カ月。そんな中、山尾氏の説明の場は、夏の政治決戦直前までずれ込んだ。この間に、躍進した昨年の衆院選以降上昇傾向だった国民民主の政党支持率は、下落気味。山尾氏は「自分に一因があるのだろうと。申し訳なく思う」と述べ、SNSなどでの自身への批判は「想定以上だった」と漏らした。会見開催が遅れたことについては、「逃げていたということではない」と理解を求めた。
今年に入って、初当選同期の玉木雄一郎代表に出馬を打診された。悩んだが、「決めた以上(出馬)辞退はしない」と言い切った。
しかし、会見の最終盤まで不倫報道の説明ぶりに「納得できない」「きちんと説明を」と質問が飛ぶ異例の展開。「納得できないような説明でごめんなさい。すみません」と謝罪の言葉を繰り返した山尾氏は「私にもいろんな思いはあるが、言葉にする選択ができない。自分の生の思いを口にすれば、そうだったのかと思ってくださる方もいるかもしれないが、それを聞いて傷ついたり、いやな思いをしたりする方ももいるかもしれない」と述べ「すみません」を繰り返した。
山尾氏周辺によると、これまでに「殺害予告」も複数受け、警察に被害届を提出したという。「安全保障と人権保障の両立」など参院選で訴える政策のチラシを配布し、積極的に街頭にも立つ意向を示した。ただ永田町も受け止めも厳しかった。野党関係者は「過去の清算ができておらず、記者会見する意味があったのか」と突き放した。
再挑戦で約4年ぶりの国政復帰はかなうのか。説明責任を求める声とも戦う参院選になる。【中山知子】
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