( 299048 ) 2025/06/14 05:04:29 0 00 謝罪するJR西日本 長谷川一明社長(13日午後)
JR西日本の長谷川一明社長は6月13日、社長退任前最後となる定例会見で、2023年2月の降雪時の対策本部の場で不適切な発言を行った点について、「その場にいた社員の方を委縮させてしまい、大変申し訳なく思っている。関係の皆様方にこの場を借りて改めてお詫びを申し上げたいと思う」と述べ、謝罪しました。 発言をめぐっては、「輸送障害等の事象が発生すると、会議等で社長など上級経営層が怒鳴るため、言い返せない雰囲気になる。上級経営層が心理的安全性の重要性を語っているが、どの口が言っているのかと思う」など、社員から厳しい声が上がっていました。
運転見合わせを知らせる電光掲示板(2023年1月)
JR西日本は、乗客・運転士計107人が死亡した2005年の福知山線脱線事故を受け、2015年度以降、第三者機関による安全管理体制評価を実施しています。
6月5日に発表された2023年度と2024年度の安全管理体制に対する評価報告書や、JR西の説明によりますと、強い寒波が関西を襲った2023年1月に、大雪の影響でポイントが故障し、JR京都線などで列車の駅間停車=“立ち往生”が相次いだ問題をめぐり、事後に実施された検証会議の場で、当時の役員から担当社員に激しい叱責があったということです。
この当時の役員をめぐっては、ハラスメントがあるのではないかとする内部通報もあり、JR西日本は外部の弁護士からなる調査委員会を設置。調査委員会は、叱責の一部をパワーハラスメントと認定したということです。
JR西日本は叱責の文言・態様や、処分内容は明らかにしていませんが、当時の役員は、現在はグループ会社に籍を置いているということです。
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さらに当時、長谷川一明社長にも不適切な発言があったことが明らかになりました。
評価報告書やJR西の説明によると、その輸送障害の反省も踏まえ、2023年2月に急遽の降雪予報を受け対策本部を設置し、夕方のラッシュ時間帯にJR京都線の運転をストップして融雪機点火などの対応を取った際、長谷川社長が対策本部の会合の場に自ら出席。近畿統括本部の幹部らに“厳しい指導”を行いました。会合はWEB会議で他の社員も視聴できる状況だったということで、複数の社員が委縮したということです。
外部の弁護士からなる調査委員会は、長谷川社長の発言についてはパワハラと認定しませんでしたが、JR西は6月5日の会見で「経営幹部としては不適切な発言だった」と説明しています。
JR西日本本社
JR西日本は、福知山線脱線事故の遠因に、「日勤教育」に代表される当時の懲罰的な企業風土があったことを踏まえ、乗務員の人為的ミスを懲戒処分の対象外とする制度を導入するなど、企業風土の変革を進めてきました。
しかし、第三者機関の評価報告書によると、ハラスメント認定された当時の役員の叱責や社長の言動などをめぐり、▽「JR西日本は昔に戻ったと感じた」▽「輸送障害等の事象が発生すると、会議等で社長や鉄道本部長など上級経営層が怒鳴るため、言い返せない雰囲気になる。上級経営層が心理的安全性の重要性を語っているが、どの口が言っているのかと思う」などの声が社員から上がったということです。
第三者機関は報告書で「輸送障害後の社会からの厳しい視線等、難しい局面であったことを理解しつつも、慎重にコミュニケーションを行うことが心理的に安全な職場づくりに重要」として、コミュニケーションの改善を求めています。
JR西日本 長谷川一明社長(13日午後)
長谷川社長は6月13日、社長退任前最後となる定例会見に臨み、冒頭で元役員のパワハラや自身の不適切な発言について、謝罪しました。
JR西日本・長谷川一明社長 「ご指摘いただいた内容も含め、パワハラにあたるような発言を(当時の)役員が行ったことにつきまして、役員を代表して改めて心からお詫びを申し上げます」 「私長谷川としても、対策本部の場におきまして、厳しい口調で発言を行ったことにつきまして、その場にいた社員の方を委縮させてしまったということで、大変申し訳なく思っております。関係の皆様方、とりわけ、そうした社員の皆様にはこの場を借りまして改めてお詫びを申し上げたいと思います」
長谷川社長は6月18日付けで社長を退任し、会長に就任します。
会見で長谷川社長は、第三者機関からの不適切発言の指摘と、社長退任との因果関係については否定しました。
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