( 299098 ) 2025/06/14 06:04:42 0 00 自民党の参院選公約幹部協議に臨む石破茂首相=13日午後、党本部(春名中撮影)
石破茂政権が13日閣議決定した「骨太の方針」は、「減税政策よりも賃上げ政策こそが成長戦略の要」と明記し、参院選に向けて盛り上がる野党の消費税減税論にクギを刺した。一方、首相はこの日、自民党の公約に現金給付を盛り込む考えを示した。減税や給付はいずれも物価高対策として打ち出した措置だが、選挙前のバラマキ色が強く財政健全化への道は遠い。
■参院選前に歳出圧力
今年の骨太方針で、政府は国・地方の財政の健全性を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)が黒字化する時期について、従来目標の「25年度」から、「25~26年度を通じて可能な限り早期」へと幅を持たせた書きぶりに改め、実質先送りした。
内閣府が今年1月に公表した試算によると、PBは24年度が17・9兆円程度の赤字、25年度が4・5兆円程度の赤字になる見通し。ただ、26年度以降は黒字化を見込んでいる。賃上げと投資が牽引する「成長型経済」に移行できれば、その確度はより高まる。PBは30年以上続いた赤字を脱する目前まで来ている。
国・地方が抱える借金を国内総生産(GDP)と比較した債務残高対GDP比は現在200%を超えており、骨太方針では「まずは新型コロナウイルス禍前の水準(190%程度)に向けて安定的に引き下げることを目指す」ことも盛り込んだ。
ところがここにきて財政健全化の流れは再び停滞しかねない情勢となった。少数与党体制で迎える参院選を前に、政治側から歳出圧力が強まっているからだ。
■日本国債の信任低下も
第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、野党が求める減税と与党が検討する給付について「期間や規模が変わらなければ、マクロの財政への影響という観点では大きな違いはない」と指摘。「給付金が毎年の補正予算の恒例行事となっている」ことも問題視し、政策の趣旨に照らしてより効果的な手法を探るべきだと話している。
金融市場も敏感に反応している。財政悪化の懸念などから日本の超長期金利が上昇しやすい場面が増え、日本国債の信認低下が意識されている。
民間の政策提言組織「令和国民会議(令和臨調)」は10日、政府の26年度以降の財政健全化目標として、債務残高対GDP比を10年以内に25~30%引き下げるべきだと提言。専門部会の平野信行共同座長(三菱UFJ銀行特別顧問)は「有事への備えで財政余力を持つためにも、日本国債の格付けの引き上げを可能にする水準を目指すべきだ」と訴えた。(米沢文)
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