( 299488 )  2025/06/16 03:09:28  
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富士山を背景に、真冬の海でサーフィンを楽しむ人たち=2025年2月10日、神奈川県藤沢市鵠沼海岸、中嶋周平撮影 

 

 サーフボードを自転車の脇に積んで行き交うサーファーたち。神奈川・湘南の海辺では見慣れたこの光景が、波紋を呼んでいる。交通ルール上は厳密には「違反」になり得るが、湘南の「文化」として定着しているとの声も根強い。 

 

 湘南で広く利用されている、自転車用の「サーフボードキャリア」。自転車のフレームに取り付けたフックにボードを立て掛け、ゴムバンドなどで固定する器具で、1万円程度で購入できる。 

 

 県警によると、自転車の積載物は、乗車装置(サドル)または積載装置の長さや幅から0・3メートルを超えないよう、県道路交通法施行細則で定められている。サーフボードがキャリアからはみ出す長さによっては違反になる。 

 

 県警は違反を見つければ口頭注意などをしているが、検挙例はなく、違法に運搬したボードが原因の人身事故も、少なくとも昨年1年間は確認されていないという。 

 

 サーファーの受け止めはどうか。5月に鵠沼海岸の周辺で聞いた。 

 

 自転車で10分ほどかけて海へ通う会社員の男性(39)は「長さが違反じゃないのか不安になったことはある」としつつ、「みんな気をつけて走っているし、危険を感じたことはない」。自転車で5分ほどの場所に住む40代の主婦は「自転車で家から通って、良い波の場所を行き来するのは湘南では一般的。湘南の文化だと思う」と話した。 

 

 一方、ショートボードを載せて走っていた会社員の男性(48)は「(自転車の積載物の)ルールは知らなかった。ボードの下のフィンを外側に向けて走っている人は危険だと思ったことがある」と話した。 

 

 県サーフィン連盟は2022年から「フィンは、人と衝突する恐れがあるので内側に向ける」「余計な幅をとらないよう、ボードを運ばないときはキャリアを外す」など独自のルールを定め、ポスターをサーフショップなどに貼り出し、安全な利用を呼びかけている。(中嶋周平) 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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