( 299653 ) 2025/06/16 06:05:18 0 00 インタビューに応じる日産自動車のイバン・エスピノーサ社長=12日午後、横浜市西区(三尾郁恵撮影)
日産自動車のイバン・エスピノーサ社長は産経新聞のインタビューで、業績不振に陥った原因について「サプライヤー(取引先)に対して傲慢だった」などと経営上の問題点を指摘した。その上で「日産の真のターゲットはお客さまに喜んでいただくことだ」と話し、再建計画を通じた風土改革で「顧客第一」の経営を取り戻すことに意欲を示した。
--再建計画で過剰な生産能力や高コスト体質にメスを入れるが、これまでになぜ有効な対策を取れなかったのか
「問題解決のために従来のやり方を取ってきたのだと思う。普通のコスト削減でサプライヤーと交渉していた。実際は(状況を打ち破る)ブレークスルーが必要だった。日産はサプライヤーに対して少し傲慢だった。『コスト削減のアイデアなんていらない。自分たちの方がよくわかっている』と頑固にやっていた。ただ、現実問題として新技術や中国製品が出ている。そこから学ばなければならない。サプライヤーはそれをサポートできる。今のアプローチはサプライヤーに『コスト構造を改善できる案をお願いします』。そういうマインドセット(考え方)に変わっている」
--経営の意思決定プロセスにも問題があった
「ゆっくりだった。新しい経営陣が就任して、完全に仕事の仕方も変えた。従業員に対するコミュニケーションの仕方も変わり、風土改革の方向にある。考えているのは縦割り意識をなくすということだ。日産は力強い会社で実行力がある。それぞれの機能部門が力を持っているからだ。会社の戦略を推進させるには全社的に合意をしなければならないが、トップダウンだけだと現場の声が反映できない。同時に、トップダウンがないと戦略の整合性はとれない。トップダウンとボトムアップのバランスを取り直している」
--内外の工場閉鎖を検討中だ。車両生産以外の機能も併せ持つ拠点は生産工場の閉鎖の際に他の機能も無くすのか
「必ずしもそうではない。個別にみている。生産体制を見直しているが、オペレーション上、開発の機能が拠点の中にあり、必要だったらそれはキープするという考え方だ。区別して考えている。意思決定はイコールではない」
--日産は販売台数を追ってつまずいた
「スケール(規模)はビジネス上、必要だ。ただスケールをゴールにしてしまうと、本当のターゲットから離れてしまう。日産の真のターゲットはお客さまに喜んでいただくことだ。私が一番やりがいを感じるのはお客さまが日産車で喜んでいるところを見ることだ。お客さま第一。それが私が持っている志だ」(池田昇)
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