( 299663 )  2025/06/16 06:17:11  
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働きやすい職場づくりを重視する経営方針について語る上原社長 

 

 医療機器部品製造などの西軽精機(長野県佐久市)が、福利厚生の充実や賃上げで社員が働きやすい職場づくりに力を入れている。3月には従業員や取引先などを大切にしている企業を表彰する「『第15回日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」で審査委員会特別賞を受賞した。取り組みに伴って生産性が向上し、売り上げや利益の拡大につながっている。 

 

 社員30人。チタンなどを加工して、医療機器や産業用機械などに使われる部品を作っている。上原大輔社長は2008年のリーマン・ショック直後に同賞の主催団体の一つ、一般社団法人「人を大切にする経営学会」(東京)の坂本光司会長(元法政大大学院教授)の著書を読み、影響を受けて「人を大切にする経営」を始めた。 

 

 まず社員に約束したのが「どんなことがあっても首にしない(解雇しない)」こと。社員の心理的な安全性を高め、チャレンジできる環境を築こうとした。有休取得100%や残業ゼロといった目標も掲げている。2年前からは社員全員が参加して就業規則を作っており、休暇を取得しやすくするなどの改革を進めている。今年3月には経済産業省の「健康経営優良法人」にも認定された。 

 

 賃上げや福利厚生の原資を確保するため、受注を得るために取引先に安く出していた見積額を上げた。結果として「自社にしかできない仕事が来るようになり、社員の技術も上がった」という。 

 

 12年5月期に2億8千万円だった売上高は、23年5月期には約1・6倍の4億4600万円に。経常利益も3600万円から9300万円に拡大した。上原社長は「日本の企業の大部分を占める中小企業の社員を幸せにすることが社会のためになる」と強調した。 

 

 

 
 

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