( 299958 )  2025/06/17 06:49:08  
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ロシアのプーチン大統領(12日)=ロイター 

 

 交戦が続くイスラエルとイランの仲介役にロシアが名乗りを上げている。イランの核問題を含め平和的解決を支援する姿勢を示すことで米国のトランプ政権を懐柔し、ウクライナ侵略を巡り欧州が求める対露制裁の強化に米国が同調するのを阻む狙いがある。 

 

 プーチン露大統領は13日にイランのマスード・ペゼシュキアン大統領、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と、14日にはトランプ米大統領と相次いで電話会談を行った。プーチン氏は会談で、緊張緩和に向けて「仲介役を務める用意がある」と伝えた。 

 

 トランプ氏との電話会談はウクライナ情勢も議題となる先進7か国首脳会議(G7サミット)の直前で、トランプ氏の79歳の誕生日というタイミングだった。対露制裁をためらうトランプ氏と個人的な関係を深めたい思惑がにじむ。プーチン氏はウクライナと交渉を続ける考えも示した。 

 

 イランの核問題を巡り、ロシアは数か月前から交渉を支援する意向を米側に伝えていたとされる。米政策研究機関「戦争研究所」は、ロシアの目的を「米国が国際的な問題で成果を達成するために必要なパートナーとしてアピールする考えだろう」と分析している。 

 

 ロシアは、後ろ盾となってきたシリアのアサド前政権が昨年12月に崩壊し、中東での影響力と威信を低下させた。イスラエルとイランの対立激化を、中東への関与を強める好機とみている可能性がある。 

 

 ただ、イランとイスラエルに対してロシアの影響力がどの程度及ぶかは見通せない。ロシアとイランは1月、軍事技術協力の発展などをうたう「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。しかし、米ブルームバーグ通信は、核問題を巡る交渉の仲介を申し出たロシアの動機にイランが不信感を持っているとする専門家の見方を報じた。 

 

 

 
 

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