( 300388 ) 2025/06/19 04:12:22 0 00 石丸伸二氏
6月22日に投開票を迎える東京都議会議員選挙が13日に告示され、定数127に対して295人が立候補を届け出た。そのうちの42人が、昨年7月の都知事選で165万票を勝ち取って次点となった石丸伸二氏(42)が率いる「再生の道」の候補者だ。都議選では台風の目になるのではと目されていたが、そよとも吹かず……。
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石丸氏が今年1月、都議選を見据えて設立を発表した地域政党が再生の道だ。候補者はオーディションによって選考。今回が初陣となり、42人を擁立した。その数は都議会第1党である自民党と同じく最多であり、第1党への返り咲きを目指す小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会(26人)よりはるかに多い。まさに台風の目となるはずだった。政治部記者は言う。
「べた凪と言ってもいいほど、再生の道に風は吹いていません。読売新聞の世論調査(6月16日付)によると、政党別の投票先では自民党がトップの20%、次いで都民ファが10%、国民民主党と立憲民主党が7%、公明党と共産党が4%、再生の道はわずか2%でした。共同通信の世論調査(同前)では、自民が16%、立民と共産が11%、都民ファが10%、国民が6%、公明が5%、再生の道は3%。他紙の調査でも再生の道は同様の数字です」
再生の道は党としての公約を掲げていないため、選ばれる理由がないのかもしれない。
「都知事選ではSNS戦略で“石丸旋風”を巻き起こし、今回は候補者オーディションをYouTubeで配信。50本の動画の総再生数が585万回に達したことを、石丸氏は快挙と評していました。ただし、東京都民の視聴者は全体の22%しかおらず、1選挙区あたり500弱にしかならないことを『ネットメディアの限界』とも言っていましたが……」
YouTubeチャンネル「再生の道」には街頭演説や候補者紹介などの動画が追加され、6月16日現在、190本に達している。動画数は4倍近くになったものの、総再生数は976万回と2倍にもなっていない。
「ネット戦略があまり上手くいっていないせいか、『マスメディアの皆さんに大変期待しております。この社会を動かせるのはマスメディアしかないと改めて感じた、感じざるを得なかったという結果です』とも言っていましたね。都知事選であれほどオールドメディアをこき下ろしていたにもかかわらず」
だからメディアも、再生の道を取り上げることが少ないのだろうか。
「もちろん良く思っていない記者もいるでしょうが、だからといって都知事選で大量に当選しそうな勢いなら取り上げざるを得ません。それどころか6月8日配信の『FRIDAYデジタル』の記事では、自民党が水面下で行った調査で、再生の道の当選者はゼロだったと報じています」
デイリー新潮は5月12日配信の「わずか1週間で『都議選候補者5名辞退』、YouTube戦略も不発…『石丸伸二』の旬は過ぎた?」で、彼に勢いがなくなってきていることを報じたが、実際のところどうなのか。
政策・危機管理コンサルティングなどを行う紀尾井町戦略研究所が5月20日に発表した、都内在住の18歳以上の1000人を対象にオンラインで行ったアンケート調査の結果は以下の通りだ。
・投票したい候補の所属先は? 国民【10・1%】 自民【6・7%】 都民ファ【4・7%】 れいわ新選組【4・0%】 立民【2・7%】 共産【2・2%】 東京維新の会【1・8%】 公明【1・5%】 再生の道【1・4%】 (以下省略)
・再生の道に対する期待は? 期待する【19%】 期待しない【62%】
・再生の道についてどのくらい知っている? よく知っている【4・4%】 ある程度知っている【20・8%】 名前だけ知っている【41・8%】 まったく知らない【33・0%】
・再生の道が3人の候補を擁立した杉並区(定数6)で知名度を尋ねると―― よく知っている【0%】 ある程度知っている【14・6%】 名前だけ知っている【51・2%】 まったく知らない【34・1%】
・同様に2人の候補者を擁立した町田市(定数4)では―― よく知っている【3・6%】 ある程度知っている【14・3%】 名前だけ知っている【46・4%】 まったく知らない【35・7%】
なかなか厳しい状況だ。石丸氏は再生の道についてこう語っている。
《うちは(候補者選考の)オーディションをするだけの装置で、「あとはがんばってね」。当選者が活躍して組織が強大になるということを繰り返していけばいい。1人でも当選すれば、このフレームワークはいきる》(朝日新聞:6月11日付)
「最近では『当選ゼロでも問題ない。都民により良い選択肢を提示するというのが一番上にある目標』とも語っています」
立候補者にとっては頼りない党首の言葉に聞こえるかもしれない。
「都知事選での石丸氏の勢いは確かに凄かった。165万票を得た余勢を駆って選挙後はメディアに出続けたものの、女性タレントを詰問する姿などが“上から目線”と評価を下げました。昨年の衆院選には出馬を匂わせながら立候補しなかった。今回の都議選にも彼自身は出馬していませんし、7月の参院選にも出る予定はない。都知事選から約1年、再生の道を立ち上げたものの、有権者から見れば彼自身は何もしていないに等しい」
都知事選で選挙プランナーを務めた“選挙の神様”こと藤川晋之助氏が今年3月に亡くなった影響もあるのかもしれない。
「石丸氏がいくら都知事選で165万票を取った次点とはいえ、1年経てば選挙で負けた人の一人に過ぎません。政治家としては広島県の安芸高田市長を1期務めただけの党首というわけです。7月の参院選に再生の道からは比例代表に9人、東京都選挙区の1人を含め計10人を擁立するそうですが、このままではそれも厳しいでしょう」
石丸氏に再生の道はあるのだろうか。
デイリー新潮編集部
新潮社
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