( 301240 ) 2025/06/22 03:47:21 0 00 少年少女が集まり、問題となったグリ下=昨年12月、大阪市中央区
「家出をしていると聞き、『一緒にいてあげないと』と思った」。大阪・ミナミのグリコ看板下の遊歩道、通称「グリ下」にいた女子高生を東北などに連れ回し、100人以上の男性を相手に売春させたとされるグループのトップの男は法廷でこう語り、自らを正当化した。17日に始まった刑事裁判は即日結審。論告では「金銭獲得の道具として少女を支配・利用した」と厳しく指弾された。
男は滝本絵斗(かいと)被告(26)。売春防止法違反と児童福祉法違反の2つの罪に問われている。大阪地裁で開かれた公判によると、被告は令和6年5月ごろ、「援助交際デリバリーヘルス(援デリ)」と呼ばれる違法売春を手がけるグループを結成。女性に売春を持ちかけた上で、グループ側が出会い系サイトで女性になりすまし、男性客を確保する手口だ。
その前年ごろ、知人から「女の子を送るドライバー」の仕事を紹介され、軽い気持ちで参加した先が同様の違法売春を行う組織だった。組織を運営する「半グレ」を恐れ、その下で働いていたが「独立した」と法廷で説明。「女性からのクレームを聞いていた。(そういうやり方は)好きじゃない」というのが理由の一つだったという。
罪に問われたのは2人の女子高生(当時)が被害者となった事件で、起訴された売春は計6件。だが、検察側の冒頭陳述によると、2人のうち1人は東北などを車で移動しながら10日間で少なくとも109人、もう1人も北陸での5日間で少なくとも28人の相手をさせられていた。
■祖母と過ごした過去
被告は公判で起訴内容を認めた上で、被告人質問でも、女子高生らに「寄り添う」姿勢を強調した。
幼少期から両親ではなく、祖母らと過ごしていたという被告。「家出をして親に会いたくない」などと訴える女子高生らに自身の境遇を重ね、「心情が分かり、『一緒にいてあげないと』という思いだった。未成年だとは思わなかった」と語った。
女子高生らが「もう限界」などと訴えていたことは知っていたが、「無理やりではなく本人に続けられるペースでやるよう伝えた」と釈明。「家を借りるお金がほしいから仕事がやりたいと言われた」とも説明し、あくまで女子高生側が望んでいたと訴えた。
一方で検察側は、売春相手から1回で1万5千~2万円を受け取り、被害者2人で計220万円超を稼いだものの、被告らが「対価の大半を得ていた」と指摘。「卑劣で悪質な犯行」などとして、被告には懲役2年6月、罰金30万円を求刑した。
「申し訳ない。一番しんどい思いをしたのは女の子」。法廷で時折声を詰まらせながら、犯行への後悔や謝罪の言葉を述べた被告に対し、大阪地裁は7月2日に判決を言い渡す。(喜田あゆみ)
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