( 301870 )  2025/06/24 05:42:59  
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(ブルームバーグ): アジア時間23日の取引で、原油先物価格が朝方に急上昇した後、上げ幅を縮小した。米国がイランの主要な核施設を攻撃し、中東情勢を巡る緊張が高まったものの、中東からのエネルギー供給が即座に途絶えるとの懸念が後退した。 

 

グローバル指標である北海ブレント先物は一時5.7%上昇し、1バレル=81.40ドルを付けた。その後は78ドル付近で推移した。 

 

トランプ米大統領は週末の演説で、空爆により三つの標的を「壊滅させた」とし、イランが和平に応じなければ追加の軍事行動を取ると警告。これに対し、イラン側は今回の攻撃が「永続的な結果」を招くと警鐘を鳴らした。 

 

一方、S&P総合500種株価指数先物は0.2%安。アジア株式指数も下落し6月上旬以来の安値を付けた。米国債利回りはやや上昇した。 

 

今回の米国による攻撃は、フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3施設を標的としたもので、世界的なエネルギー市場に対するリスクプレミアムを一時的に押し上げる結果となった。 

 

一方、中東地域は世界の原油生産のおよそ3分の1を占めているが、ホルムズ海峡を通過する貨物を含め、実際の供給に混乱が生じている兆しはまだ見られていない。 

 

ラピダン・エナジー・グループのボブ・マクナリー社長はブルームバーグテレビジョンで「原油価格は戦争開始以来、1バレル=10ドル上昇し、足元ではもう少し高くなっている。現在の市場には適切な水準のリスクが織り込まれていると思う」と指摘。「トレーダーらはイスラエルやイランが軍事・政治目標を超えて、エネルギー資産にまで攻撃を拡大するかを見守っている。今のところ、その一線は越えられていない。今後もそうなら、価格は反落する可能性もある」と語った。 

 

最大の懸念はホルムズ海峡の封鎖だ。世界の原油供給の約5分の1が、ペルシャ湾の入り口に位置するこの狭い水路を通過している。 

 

イラン国営テレビによれば、イラン議会は同海峡の封鎖を求めているが、実行に移すには最高指導者ハメネイ師の明確な承認が必要とされる。 

 

 

ケプラーのシニア原油アナリスト、ムユ・シュー氏は「市場はイランの対応を注視している。イランがホルムズ海峡を1日でも封鎖すれば、原油価格は一時的に120ドル、あるいは150ドルまで急伸する可能性がある」と述べた。 

 

他の産油国への影響 

 

また、イランが報復措置として、サウジアラビアやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)など他の中東産油国の石油インフラを狙う可能性もある。米国の攻撃を受け、サウジ、イラク両政府は核施設への攻撃に懸念を表明した。 

 

さらにイランは、アラビア半島の反対側にある紅海での船舶への攻撃を画策し、イエメンを拠点とする親イラン武装組織フーシ派による船舶攻撃を働きかける可能性もある。米国の攻撃後、フーシ派は報復を警告している。 

 

対立が激化すれば、イラン国内の原油生産能力が標的になる可能性もある。特に懸念されるのカーグ島にある重要な輸出拠点への攻撃だ。ただし、こうした動きは原油価格の急騰を招く恐れがあり、米国としても避けたいとみられる。現在のところ、カーグ島は攻撃を免れており、衛星画像からはイランが輸出加速を図っている様子がうかがえる。 

 

原題:Oil’s Spike Unwinds as Traders Await Iran Response to US Atta、Stock Futures Drop, Oil Gains After Strike on Iran: Markets Wrap(抜粋) 

 

--取材協力:Stephen Stapczynski、内田良治、鎮目悟志、渡辺漢太. 

 

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