( 302305 ) 2025/06/26 03:15:56 0 00 立憲民主党から参院比例区での公認を受けた蓮舫氏(撮影:尾形文繁、2019年撮影)
7月20日投開票の参議院選挙に向けて、立憲民主党は6月24日、比例区候補として前職の蓮舫氏(57)の公認を決めた。
同氏は昨夏の東京都知事選で敗北した後、国政復帰を繰り返し否定してきた。それだけに、今回の比例区出馬をめぐっては同党内でも賛否が分かれ、最終的に野田佳彦代表が押し切る形での決着となった。
■「野党の顔」が歩んできた紆余曲折
民主党政権時代に閣僚として活躍、同党分裂後には旧民進党代表にもなった“華麗な経歴”を持つ蓮舫氏。参院での「野党の顔」として、舌鋒鋭い政権追及などで存在感が際立っていた。
ただ、参院議員を辞職し、離党して無所属で現職の小池百合子氏に挑んだ1年前の都知事選では、突如参戦した石丸伸二・前安芸高田市長に次ぐ3位という想定外の敗北を喫したことで、政界でも“政治生命の危機”がささやかれていた。
蓮舫氏の今回の出馬をめぐっては、旧民進党時代の同僚で、同氏と同様に「野党の女性スター」としてもてはやされた山尾志桜里・元衆院議員の国民民主党からの出馬が、同党内の強い反発を受けて土壇場で取り消しとなって明暗が分かれたことも、騒ぎの拡大につながった。
公認決定を受け、蓮舫氏は週内にも出馬会見に臨む構えだ。ただ、山尾氏の公認取り消しは、「出馬会見」で同氏の政界引退につながった不倫問題について「どうしても話せない」と説明を拒否したことへの国民的な批判が原因だった。「二重国籍問題」などで批判され、8年前の東京都議選敗北で民進党代表辞任に追い込まれた蓮舫氏が、「出馬会見で何を語るかが注目の的」(政治ジャーナリスト)となりそうだ。
立憲民主党は24日、参院選での蓮舫氏を含む9人の比例区での公認を決め、擁立作業を完了させた。公認は選挙区で29人、比例区で22人となったが、「改選議席の与党過半数割れ」を目標とすることで、同党自体の獲得議席をめぐる「勝敗ライン」は明示しない方針だ。
野田代表ら党執行部は同日の常任幹事会で、22日に投開票された東京都議選での議席増に蓮舫氏が貢献したことなどを理由に、擁立を決定した。党内にくすぶっていた「連合の組織内候補が当選圏から外れかねない」との異論を、野田代表らが押し切ったとみられる。
これまで同党内では、蓮舫氏擁立をめぐり「都知事になれないから、参院に戻るという発想は有権者の理解を得られない」(参院中堅議員)との批判や不満がくすぶっていた。24日の常任幹事会でも「党全体を考えればデメリットが大きい」との意見が出たが、最後は全会一致で承認された。
これを受けて記者会見した小川淳也幹事長は、蓮舫氏について「知名度、実績を党勢浮揚の一助とすべく支援したい。(都議選の応援演説で)東奔西走していただき、一定の成果につながった」と力説。常任幹事会での議論についても「『誰がはじかれる』『どこの団体がはじかれる』ということを憂慮した声は一切なかった」と強調してみせた。
■「一度は区切りをつけたが、再び歩みを進める」
そうした中、蓮舫氏は公認決定を受けて24日午後、自身のX(旧ツイッター)を更新し、以下のように思いをつづった。
このたび、立憲民主党より参議院議員選挙比例区における公認を頂きました。 昨夏は、多くのご支援を賜りながらも、私の力が及ばずに想いを届けることができず、一度は区切りをつけました。 しかし、その後も多くの方々の声や「政治への思い」に触れる中で、さまざま寄せて頂く想いを国政の場で実現したいという気持ちが強まり、再び歩みを進める決意をいたしました。 改めての挑戦となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。 そもそも蓮舫氏は都知事選での敗北を受けて、Xなどに「国政選挙(への立候補)はもう考えていない」「120万を超える人が『蓮舫』と書いてくれた。これで国政に戻ったら渡り鳥みたいだ」と、国政復帰には否定的な認識を示していた。
一方で、22日に投開票された東京都議選では、立憲民主党の候補者の応援に積極的に回り、21日にはXに「久しぶりに街角に立ちました。マイクを持ちました。政策を語り、仲間を応援する日々でした。頷いてくださる方、手を振ってくれる方、笑顔を向けてくださった方、温かいエールの声がけもいただきました」と、参院選出馬への意欲をつづっていた。
■参院選後の党内抗争の火種にも
こうした経緯も踏まえて、24日の公認候補決定後に小川幹事長に続いて会見した大串博志選挙対策委員長は、蓮舫氏が今後記者会見するかどうか問われると「しかるべきタイミングで話をすることになると思う」と述べ、蓮舫氏が取材対応で今回の立候補の経緯について話すとの認識を示した。
今回の蓮舫氏公認への一連の経緯を見ると、「野田氏は、側近で抜群の知名度を持つ蓮舫氏を比例区に擁立して比例票を積み増しすることで、参院選後も代表としての求心力維持を狙っている」(立憲民主党幹部)ことは間違いなさそうだ。
しかし、立憲民主党を支援する連合傘下の産業別労働組合(産別)の反発はなお根強い。「側近重用」とも映る今回の野田氏の対応については、批判の拡大が必至とみられる。
さらに、蓮舫氏が都知事選敗北後に明確に国政復帰を否定していたことで、党内からは「明らかにブーメランとなる」(若手議員)との声も噴出している。関係者の間では「参院選後の党内抗争の火種ともなりかねない」との見方が広がっている。
泉 宏 :政治ジャーナリスト
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