( 302756 ) 2025/06/27 06:28:38 0 00 「子供が乗っています」「赤ちゃんが乗っています」のカーサインは、日本でも多く見かけるようになりました。「赤ちゃんが乗っている?だからなに?」「ウザい」といった辛辣な意見も目立つこのカーサインを、つけるべきか悩む人は多いのでは。昨年春に子供が生まれてカーサインを付けてきた筆者の身に、1年間でどのようなことが起きたのかをお伝えしていきます。
文:佐々木 亘/画像:ホンダ・Adobe Stock(メイン=Mariya)
元々、赤ちゃんが乗っていますサインの装着に否定的だった筆者。付けても付けなくても変わらないだろうと思っていたのですが、新生児期から子供をクルマに乗せている中で、いつもとは違う運転の仕方に、自分自身で気づくようになりました。
チャイルドシートに乗せてはいるものの、今にも崩れて壊れてしまいそうな我が子を守るため、運転はより慎重になります。段差を越える時には、ゆっくりと走って衝撃を少なくしたり、道の悪いところではスピードを落として走るようになったりします。走行スピードが1割ほど低下した印象を受けるとともに、後ろを走るクルマに急かされることが増えたように感じました。
そこで、テールゲートに「BABY ON BOARD」の切り文字だけを付けることにしたのです。これで他車に何かを配慮しろという気は無いものの、「衝撃を与えないようにゆっくり走ることがあるから、後ろを走る際にはお気を付けください」的な願いを込めての貼付。
貼ってすぐにカーサインの効果は実感しました。さすが日本、助け合いの精神がある国だなと改めて感じた次第です。
大事な子供を乗せた運転は、想像以上に気を遣うもの。これを経験してきたであろう優しいドライバーからは、カーサインを付けてから多くのご加護を受けています。特に変わったのが、イケイケオラオラのイメージが強いチョイワル系ミニバンにお乗りの方々の運転でした。
カーサイン無しの頃は、真後ろにビッタビタに付かれて、煽りっぽいものを受けることが月に数回あったのですが、赤ちゃんが乗っていますサインを出すようになってから、後ろを走るミニバンの車間距離が如実に広くなったのです。
「お先にどうぞ」と追い越してもらってから、そのミニバンのリアゲートを見ると、ステッカーを剥がした跡や「子供が乗っています」のサインがあることが多く、赤ちゃんのいる中での運転を経験してきた先輩たちであることが分かりました。
パッシングやクラクションを鳴らされることは、日常的にほとんどないので、サインの有無で変化は感じませんでしたが、ルームミラーに映るミニバンの姿が、いつもよりも小さくなったというのが、サイン提示での効果です。
カーサインが100%の原因かどうかは分かりませんが、サインを付けてからというもの、スライドドアトール軽に煽られるケースが増えました。これは超意外。
避けて先に行かせると、そのトール軽の後ろにも「赤ちゃんが乗っています」が貼られているではありませんか。これが数件ではなく、数十件起きているのでこれはカーサインのせいなのかもしれないと考えてしまうことも。
結果としてミドルサイズセダンに、赤ちゃんサインを掲示したまま乗っていて感じたのは、従来までプレッシャーをかけられるケースの多かった大きなクルマからは優しさを感じ、逆にプレッシャーをかけられることのなかった小さなクルマから、要らぬプレッシャーをかけられる機会が増えたということです。
地方を走っていても、首都圏を走っていても、この傾向は変わりませんでした。
カーサインを付けていて良かったことも嫌な思いをしたこともありますが、全体的には良かった方が多かったかもしれません。子供が1歳になり、体も安定するようになってきたので、私はこれで赤ちゃんサインを取り外します。
子供が乗っていますサインは付ける必要が無いと思うので、今後カーサインを付ける予定はありません。
赤ちゃんが乗っていますサインを付けることを検討している方へお伝えしたいのは、このサインは免罪符ではないということ。ただ、赤ちゃん同乗ならではの神経を使った運転が増えるのであれば、貼っていた方がクルマの動きに対して周囲の理解が得やすいかもしれません。
個人的には、子供が1歳になるまでは付けておいていいのかなと思います。日本なら、まだカーサインを見て、前向きな理解をしてくれる方の優しさに触れる機会は多いでしょう。
サインを付ける側は「遠慮」しながら、サインを見た人は「配慮」しながら運転すれば、道路上でのギスギスは大きく減るはずです。日本の未来を創っていく子供を守るために、カーサインへの理解が深まってくれることを願っています。
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