( 302870 )  2025/06/28 03:10:51  
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生活保護費の減額は「違法」 涙の原告“補償”どうなる? 

 

 生活保護費の減額は「違法」か、それとも「適法」か。最高裁は違法とする初めての判決を下しました。今後、受給者への「補償」はどうなるのか。社会部記者が解説します。 

 

 生活保護費の減額は違法か適法かが争われた注目の裁判。最高裁は27日午後、減額は違法とする判決を下し、国側の敗訴が確定しました。 

 

 涙を見せる原告の姿もありました。 

 

原告 千代盛学さん(71) 

「応援、補助してくれた人、弁護士の先生にはもう足を向けては絶対寝ないと誓っております。ありがとうございました」 

 

 原告の1人、愛知県刈谷市に住む千代盛学さん。50代の時、糖尿病の影響で失明。以後、生活保護を受けながら1人暮らしをしています。 

 

千代盛さん 

「衣類なんか10年くらい買っていません。暑くなったら水シャワーを(1日)5〜6回浴びる」 

 

 部屋に備え付けのエアコンはありますが…。 

 

「今はコンセントを抜いている。エアコンは電気をくう」 

 

 現在、生活保護受給者はおよそ200万人。生活保護に関する今年度の予算総額はおよそ3兆7000億円で、国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担しています。 

 

 裁判で争われたのは、2013年から3年にわたり、デフレによる物価の下落を踏まえるとして国が生活保護の支給額を最大で10%減額したことです。 

 

 千代盛さんの支給額は月およそ2650円減ったため、食事を1日2食から1食に減らしたといいます。 

 

「僕らがどういう生活を、苦しい思いをしているのか、ちょっとでも分かってもらえたらいいなと思ってる」 

 

 全国で31件、原告の数およそ1000人に上る生活保護引き下げの取り消しを求める裁判。これまで高等裁判所の判決が言い渡されたのは12件。「違法」が7件、「違法ではない」が5件と判断が分かれるなか、最高裁は27日「違法」とする統一的な判断を示しました。 

 

原告側 小久保哲郎弁護士 

「デフレ調整が違法である。物価を直接考慮したこと自体が違法である」 

 

千代盛さん 

「(Q.判決を受けてどうですか?)今のところ感無量ですけども」 

「(Q.国に言いたいことは?)もう山が3つか5つか立つぐらいあるけど。親身に我々の生活を見てもらいたい」 

 

 

 千代盛さんたち原告の声が届いた27日の判決。ただ、国の賠償責任については認めませんでした。 

 

 今後の焦点は、27日の最高裁の判断を受けて当時の受給者およそ200万人について補償を行うかどうかです。 

 

社会部 司法キャップ 古賀康之記者 

「補償については引き下げを決めた厚労省が今後対応を決めていくことになる。今回の裁判で問題となっている生活保護費の引き下げでは、約670億円を3年間で削減できたという試算もある。当時の受給者は約200万人とされます。実際には複雑な計算がなされているので、そのまま670億円返還とならないと思うが、当時の対象者全員に返還となると、巨額の補償に発展する可能性もあります。厚労省は今後難しい判断を迫られることになる」 

 

千代盛さん 

「補償は私はあまり望んでおりません。済んだことだし裁判長のこの判決だけで胸がいっぱい」 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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