( 303603 )  2025/06/30 06:25:13  
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埼玉県久喜市で備蓄米の販売が始まり、客が長い行列を作って購入しましたが、一般的な銘柄米の売れ行きが悪く、価格も下落しています。

コメ生産者は天候不良や水不足に不安を抱いており、農水大臣小泉進次郎に対して、生産者の声をもっと反映させるよう求める意見が出ています。

JA福井の会長は、農家が価格下落により廃業に追い込まれる可能性があると懸念を示しました。

(要約)

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「コメ生産者は不安」「全部廃業」小泉農水大臣にJA福井会長が苦言 

 

 28日33℃まで気温が上がった埼玉県久喜市。炎天下の中、スーパーを取り囲むようにできた、100メートルにわたる長い行列。 

 

2時間前から並ぶ客 

「暑くてバテバテ。タオルと水分補給、ペットボトル持参した」 

 

一番乗りの客 

「(Q.何時に来た?)午前5時半。早く行かないとなくなるから。かなうことならいっぱい買いたい。一人一つだもん」 

 

 お一人様1個限定。お目当ての商品は備蓄米です。大手スーパーやコンビニに続き、中小のスーパーでも、随意契約で放出された備蓄米の販売が始まりました。 

 

 価格は5キロで1934円。用意した300袋がものの30分でほぼ完売しました。 

 

購入した客 

「買えないものだと、巡り合えないものだと思っていたのに、今回買えたから、うれしくて仕方ないです」 

 

 対象的に、コメ売り場に高く積まれた米袋の山。銘柄米などのコメの売れ行きは鈍っているといいます。 

 

スーパーマルサン 久喜店 

伊良原正裕店長 

「買い控えがあって、コメ購入を備蓄米が出るのでちょっと待ってみようという。銘柄米の買い控えもあったのではないか」 

 

 そこで、宮城県産の「ひとめぼれ」を600円ほど値下げし4000円台で販売するなど、銘柄米を少しでも安く売る努力をしているといいます。 

 

「そういった価格に少しずつでも合わせていかないと、お客様がお求めにならない」 

 

 備蓄米が出回るのと同時に、下がり始めたコメの価格。27日に農林水産省が発表した全国のコメの平均価格は、5キロあたり3835円。4週連続で値下がりしました。 

 

 ただ、異例の早さで西日本が梅雨明けするなど、高温や水不足などによる新米への影響に不安も残ります。 

 

 青々とした稲が育っている田んぼですが、よく見ると水がありません。 

 

コメ農家 多田正吾さん 

「今年は梅雨があるようなないような天気で、雨が降らないので」 

「(Q.このあたりかなり深くヒビが…)指が入るほど」 

 

 実はこれ、苗の成長を抑制するため意図的に水を抜く「中干し」という、この時期恒例の作業なのです。しかし今年は、雨不足に加え、早すぎる猛暑のため…。 

 

「今年は雨が少ないのでひび割れが大きい。ここら辺もすごい」 

「手がこんなに入る。もう少しすると足が入る感じ。こういうのは珍しい」 

 

 今のところ、順調に稲の生育は進んでいますが、中干しをこのまま続けると、稲が育たなくなる恐れがあります。 

 

 そのため、中干しを終える時期を10日ほど前倒しすることに決めました。来月1日にも田んぼに水を引く予定ですが、用水路を見せてもらうと…。 

 

「山からの湧き水なので、雨が少ないとダメ。いつもこの辺まであるが、今年は雨が全然ないから(水が)上から来ない」 

「10日に1回くらい雨が降ってくれると楽。(雨)1回5センチでもたまってほしい」 

「(Q.梅雨明け発表が早いと、どうなる?)これからは水のケンカ?上の人が(田んぼに水を)引いたら下に(水が)来ない。俺みたいに待てない人は、下からポンプで上げる」 

「(Q.ポンプで放水する頻度も増える?)そうですね」 

 

 ポンプを多く使うということは、高騰している燃料を多く使うことになります。その分、経費がかかるため、コメ農家にとっては死活問題です。 

 

 収穫したほとんどのコメをJAに卸している多田さん。去年は60キロあたりおよそ2万円で売れたといいます。 

 

「JAも田植え前は『(60キロ)2万5000円以上で買う』どの業者も言っていたけど、今は沈黙です。2000円のコメが出ちゃうと、元の相場(約1万2000円)かな」 

「『近く(隣町)のJAが5年間(60キロ)最低保証2万円』と、(きのう)ある人が来て言っていたので、不安はなくなった」 

 

 

 そうしたなか、小泉進次郎農水大臣が28日、講演会に出席。 

 

「激しすぎると言われますよ。農家の皆さんからは怒られることもありますが、今はマーケットを沈静化させないと、日本経済全体が回らない」 

 

 随意契約での備蓄米放出や、輸入米の入札前倒しなど、コメ政策の方針転換を次々と打ち出す小泉農水大臣。こうした動きに対して、27日にこのような声が上がりました。 

 

JA福井県五連 宮田幸一会長 

「コメ生産者は不安がっている」 

 

 苦言を呈したのは、JA福井県の会長です。 

 

「消費者目線でとにかくコメを下げなあかん。これ一点張りに来ているので、生産者に向き寄らない」 

 

 備蓄米放出の影響から、全国のコメの平均価格が3000円台に下がったことについて、不安と不満を口にしました。 

 

「やったことは仕方ない。我々が心配するのは、せっかくコメの価格が上がったのに30年ぶりに上がったわけ。(5キロ)2000円台で買えるという雰囲気になると困る。農家の皆さん全部廃業です。今の価格でいったら」 

 

 消費者の方ばかり向かずに、生産者のことも考えてほしいと訴えました。 

 

(「グッド!モーニング」2025年6月29日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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