( 304730 )  2025/07/04 07:16:48  
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置き配で“高額の配達物が消えた”が頻発する可能性も? 国交省が「置き配標準化」検討へ 

 

玄関前に届いたはずの荷物が、いつの間にか消えていた……そんな「置き配トラブル」が、私たちの日常に急速に広がりつつあります。 

 

国土交通省が検討を進める「置き配の標準化」は、再配達削減や物流効率化につながる一方で、高額商品の盗難・消失という新たなリスクも浮上しています。便利さと安全性のあいだで、私たちはどんな備えが必要なのでしょうか? 

 

本記事で詳しく解説します。 

 

2025年6月、国土交通省は宅配便の「置き配」を標準サービスとする方針の検討を始めました。置き配とは、受取人が不在でも玄関前や宅配ボックスなど指定場所に荷物を置いて配達を完了する方法です。 

 

背景には、ネット通販の拡大による宅配物量の増加と、深刻化するドライバー不足、そして再配達率の高さ(令和7年4月の全国平均で約8.4%)があります。再配達率の高さは物流業界の人件費や燃料費の増加、現場の負担増大にもつながっています。 

 

国土交通省は、こうした課題を解決し、持続可能な物流インフラを構築するために、置き配の標準化を推し進める方針を示しました。 

 

新ルールでは、受取人が特段の希望を示さない限り、置き配が基本となり、手渡しは有料オプション化される可能性があるとの見通しです。これにより再配達の削減、ドライバーの負担軽減、ひいては物流コストの抑制が期待されています。 

 

置き配の普及に伴い、盗難や消失などのトラブルが増加しているのも事実です。特に高額商品や精密機器などが盗難・消失した場合の金銭的損失は大きく、消費者の不安材料となっています。 

 

また、置き配は天候による荷物の破損や、誤配送が原因でトラブルにつながるケースも少なくありません。盗難や消失が発生した場合、被害額が数万円~十数万円に及ぶケースもあり、特に高額商品の購入者は注意が必要です。こうしたトラブルが頻発すれば、消費者の金銭的損失が拡大し、EC利用の心理的ハードルが上がる懸念もあります。 

 

 

置き配で盗難や消失が発生した場合、基本的には利用者が自己責任を負うことが多いようです。宅配業者や発送元は、通常、盗難時の補償義務を負いません。ただし、配送会社の指示や手続きに明らかな不備があった場合は、例外的に補償されるケースもあるようです。 

 

また、一部のEC事業者では、置き配指定商品が届かなかった場合に再送や返金で補償する制度を設けている場合がありますが、全ての事業者が対応しているわけではありません。 

 

金銭的リスクを減らすためには、宅配ボックスの設置や、オープン型宅配便ロッカー、コンビニ受け取りサービスなどの利用が有効です。宅配ボックスは初期投資が必要ですが、盗難リスクや天候被害を大きく減らせます。 

 

また、置き配保険や補償サービスの導入も今後広がる可能性があります。高額商品を注文する際は、補償内容や配送方法を事前に確認し、必要に応じて手渡しを選択することが大切です。 

 

置き配標準化は、物流業界の持続可能性やコスト削減、消費者の利便性向上につながる一方で、盗難や消失といった金銭的リスクも無視できません。今後は、置き配保険や補償制度の拡充、利用者教育の強化など、多方面での対策が進むと考えられます。 

 

消費者としては、利便性と安全性のバランスを意識し、配送方法や補償内容を賢く選ぶことが重要です。高額商品や重要な荷物は手渡しを選び、日用品は置き配を活用するなど、状況に応じた使い分けがリスク低減につながります。 

 

出典 

国土交通省 報道発表資料 令和7年4月の宅配便の再配達率は約8.4% 

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 

ファイナンシャルプランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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