( 305520 )  2025/07/07 06:20:14  
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takayuki/shutterstock.com 

 

2026年4月から「子ども・子育て支援金制度」が始まることをご存じでしょうか。 

 

この制度は、少子化対策の一環として、子育て世帯を社会全体で支えるための財源確保を目的としています。 

 

ただし、子どものいない世帯は給付の対象外となるため、「独身税」とも揶揄され、議論を呼んでいます。 

 

名称だけが注目されがちですが、制度の中身や実際の保険料負担額については、あまり知られていないのが現状です。 

 

本記事では、「子ども・子育て支援金制度」の仕組みと、負担額の目安について紹介します。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

「子ども・子育て支援金制度」は、少子化への対応をさらに強化するために設けられたものです。 

 

主な目的は、子育て家庭への支援を強化することにあり、児童手当の充実や保育サービスの拡充を通じて、子育てしやすい社会の実現を目指しています。 

 

2026年4月より、「子ども・子育て支援金」の財源確保の一環として、医療保険料に上乗せする形で支援金が徴収されることになります。 

 

では、「子ども・子育て支援金」の負担対象となるのは、具体的にどのような人なのでしょうか。 

 

●2026年4月から「子ども・子育て支援金」が徴収され始めるのはどんな人?  

子ども・子育て支援金の負担対象となるのは、「すべての世代・すべての経済主体」です。 

 

そのため、子どもがいない人や、すでに現役を引退して年金で生活をする高齢者も負担の対象に含まれます。 

 

支援金を支払う人の範囲が広い一方で、給付の対象は子育て世帯に限られていることから、「独身税」といった表現が使われるようになったのでしょう。 

 

政府はこうした背景を踏まえ、「子育て世帯以外の人にとっても、少子化対策の効果によって社会や地域の持続可能性が高まり、国民皆保険制度の安定にもつながる」と意義づけています。 

 

では、具体的に「子ども・子育て支援金」の負担額はいくらくらいなのでしょうか。 

 

 

こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室の資料「子ども・子育て支援金制度について」によれば、本支援金の具体的な負担額は、次のように試算されています。 

 

【2026年度の医療保険加入者一人当たり平均月額(見込み額)】 

 

 ・全制度平均:月額約250円 

 ・被用者保険(会社員や公務員など):月額約300円 

 ・国民健康保険(専業主婦やフリーランスなど):月額約250円 

 ・後期高齢者医療制度(高齢者など):月額約200円 

子ども・子育て支援金は、2026年度から2028年度にかけて段階的に引き上げられる見通しです。 

 

また、支援金の負担額は、個々の年収によって変動します。 

 

次章では、会社員や公務員などの職種別に、年収ごとの負担額について詳しく見ていきましょう。 

 

●【年収別】子ども・子育て支援金が上乗せで「月いくら増える?」 

以下は、2028年度時点における、会社員や公務員など「被用者保険」に加入している方の年収ごとの負担額の目安です。 

 

 【被用者保険の加入者】加入者ひとりあたりの支援金額(年収別) 

 

 ・年収200万円の場合:月額約350円 

 ・年収400万円の場合:月額約650円 

 ・年収600万円の場合:月額約1000円 

 ・年収800万円の場合:月額約1350円 

 ・年収1000万円の場合:月額約1650円 

年収が600万円を超えるあたりから、月々の支援金負担が1000円を上回り、年間では1万円を超える増額が見込まれています。 

 

医療保険や介護保険の保険料が年々上昇を続ける中、物価の上昇も加わり、家計への圧迫は徐々に増しています。 

 

たとえ月の負担額は少額であっても、毎月の固定費が増えることは家計にとって無視できる問題ではありません。 

 

支援金の正確な負担額はまだ明らかになっていませんが、一定の出費増を見越して準備を進めておく必要があるでしょう。 

 

本記事では、「子ども・子育て支援金制度」の仕組みと、負担額の目安について紹介していきました。 

 

2026年4月に導入される「子ども・子育て支援金制度」による徴収は、家計への影響にとどまらず、企業にも追加の負担を強いるものです。 

 

そのため、表面的な支援だけでなく、少子化の根本原因に迫る実効性のある対策が強く求められています。 

 

子ども・子育て支援金制度は、少子化への対応策として注目されていますが、実際にどの程度の効果が見込まれるかはまだ不透明です。 

 

この制度がどのように機能し、少子化の歯止めにつながるのか、今後より慎重に見守る必要があるでしょう。 

 

 ・こども家庭庁「こども・子育て応援MAP」 

 ・こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室「子ども・子育て支援金制度について」 

 

和田 直子 

 

 

 
 

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