( 306078 )  2025/07/09 06:40:06  
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2025年上半期における医療機関(病院、診療所、歯科医院)の倒産件数は35件に達し、過去最多となった2024年上半期の34件を超えた。

内訳は病院9件、診療所12件、歯科医院14件となっており、特に高齢の経営者の死亡や収益性の悪化が影響している。

医療費の高騰に伴い、診療報酬がそれをカバーできておらず、また多くの医療機関が老朽化した設備を抱えている。

帝国データバンクによると、全国の病院経営者の53.4%が1986年以前に設立されており、今後の倒産件数がさらに増加する懸念がある。

(要約)

( 306080 )  2025/07/09 06:40:06  
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「病院」「歯科医院」の倒産は経営者の死亡や高齢化で過去最多に(写真=イメージ) 

 

 2025年上半期(1-6月)の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は35件となり、過去最多となった2024年(通年で64件)の上半期(34件)を上回った。内訳は「病院」が9件、「診療所」が12件、「歯科医院」が14件で、「病院」と「歯科医院」がそれぞれ過去最多(病院18件=2007年、歯科医院27件=2024年)に並ぶ水準で推移している。負債10億円以上の倒産は4件(すべて「病院」)発生しており、態様別では34件(構成比97.1%)が破産、都道府県別では北海道、東京、神奈川、奈良、兵庫、福岡(各3件)など18都道府県で発生した。 

 

医療機関(病院・診療所・歯科医院)経営事業者の倒産件数 

 

 医療機関の倒産が急増している背景に収益性の悪化がある。近年、医療機器の価格、人件費(残業代)、入院患者の給食費、光熱費などが高騰する一方、診療報酬はそれらの上昇分をまかなうにはほど遠いレベルで推移しているのが現状だ。また、診療所や歯科医院などの中小事業者においては、経営者の死亡や高齢化で事業継続が困難となる事業者が急増している。 

 

業態別件数 

 

 病院については、建物の老朽化がクローズアップされている。病院建物の法定耐用年数は39年とされているが、同年数を超えても、建設費高騰や資金難で新施設の建設ができずに事業存続危機に陥る施設が相次ぐのではないかという問題だ。帝国データバンクが病院を経営する全国5132事業者(法人のみ)の設立時期の分布を調べたところ、39年前にあたる1986年以前に設立されたのは全体53.4%となった。経営状態が悪化している医療機関は増加し続けており、このままのペースで推移すると、2025年の倒産件数は、はじめて70件に達する可能性がある。 

 

 

 
 

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