( 306255 )  2025/07/10 03:52:11  
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JR池袋駅前で第一声を上げる共産党の田村智子委員長=3日午前、東京都豊島区(酒巻俊介撮影) 

 

共産党が参政党を「メロンパン」で攻撃している。元参政幹部の「メロンパンを食べたら死ぬ」という発言がSNS上で炎上し、参政の街頭演説にメロンパンを片手に抗議する人たちが表れた。一部では参政批判の「入り口」として評価する一方、左翼活動家からは「理論的ではない」との指摘もある。 

 

■発端は元幹部発言 

 

子供や女性、甘党から人気があり、見た目もかわいらしいメロンパンが、なぜ政治利用されているのか。 

 

発端は元参政幹部が過去の選挙演説の際、「メロンパン1個食べて翌日死んだ人はたくさん見ています」と発言する動画にあった。参院選(20日投開票)で全選挙区に候補者を立てた参政が急伸するとの見方が広がると、参政の「怪しさ」を裏付ける材料として「メロンパン」発言が拡散した。 

 

火付け役は共産の田村智子委員長とみられる。田村氏が4日、大阪市内で街頭演説した際に、共産新人が当日、誕生日だった田村氏にメロンパンをプレゼント。共産新人は「メロンパン食べたら、次の日死ぬ人が多いそうですが、これはでたらめです、陰謀論です。信用しないでくださいね~」と訴えると、聴衆からは「キャー」という喚声が起こった。 

 

その後、マイクを握った田村氏は「日本人ファースト」を掲げる参政を踏まえ、「排外主義、外国人に対する差別をあおる潮流が出てきている。断固として立ち向かっていく。排外主義と闘い、この台頭を許さない」などと訴えた。最後はメロンパンを片手にジョン・レノンの名曲「パワー・トゥ・ザ・ピープル」を聴衆と合唱し、「頑張りましょう」と締めくくった。 

 

■批判の象徴に 

 

田村氏の4日の演説以降、メロンパンを片手に参政に抗議する左派勢力が急増したようだ。SNS上ではメロンパンを片手に持ちつつ、参政を批判するコメントの投稿が増えた。袋のまま口にくわえ、自身の主張を書いたプラカードを掲げるパターンもある。SNS上では「『排外主義』『差別』『ナチズム』でも参政党の異常さは中々届かなかった。でも『メロンパン』なら届く」として参政批判の象徴となった。 

 

共産は参政を「分断・排除」の政党と位置付ける。党機関紙「しんぶん赤旗」では「個人の尊厳を傷つけるだけでなく、社会に分断と排除を持ち込むことで、批判の矛先を自民党政治の害悪からそらす役割がある」と論評し、連日のように神谷宗幣代表の発言を取り上げて批判している。 

 

 

6日には赤旗でコラムを連載していた行動する俳人・家登みろく氏が、メロンパンを両手で天高く掲げながら抗議する様子を自身のSNSに投稿。「参政党にはメロンパンで抗議。意味を聞いてくれて、対話になる人もいました」とつづった。 

 

■筋金入りからは不評も 

 

東京都内で8日、開かれた参政新人の街頭演説には「人間にファーストもセカンドもない」などと書かれたプラカードを持った男性がやって来て、単独で参政に抗議していた。 

 

男性は40代で、共産支持者ではないというが、メロンパンを使った参政批判の評価を聞くと、「俺もメロンパンを1週間ぐらい食べたけど、全然平気。身体に何の異変もない。メロンパンはわかる人には響く」と熱っぽく話した。なぜ1人で抗議に来たのかを尋ねると、「差別はダメ! 『日本人ファースト』という言葉にどれだけの差別思想が入っているのか、全然、理解していない。恐ろしい」からだという。 

 

ただ、筋金入りの左翼活動家からは不評だ。元過激派幹部は「左翼の行動には理論があるが、どういう理論に基づいた行動なのか理解できない。メロンパンと参政を結びつける大衆はそこまで多くはないのではないか。運動としてわかりにくい」と寸評した。 

 

 

 
 

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