( 306315 )  2025/07/10 05:01:55  
00

鶴保庸介参院議員 ©︎時事通信社 

 

 7月8日、個人演説会で「運のいいことに能登で地震があったでしょ」などと発言し物議を醸している自民党の鶴保庸介議員(58)。きょう9日に行った記者会見では「言葉足らずであったと同時に、被災地の苦労を考えると、例示として出すのに適当だったか、深く考えなければならない」と謝罪し、発言を撤回した。 

 

  実は、今回の参院選にあたり、鶴保氏の地盤・和歌山県で思わぬ“異変”が起きていた――。「週刊文春」の記事を全文公開する。 

 

(初出:「週刊文春 電子版」2025年6月28日配信) 

 

◇◇◇ 

 

 参議院議員選挙の注目区・和歌山選挙区に、思わぬ異変が起きていた。地元の自民党関係者が声を潜めて明かす。 

 

  

 

「実は立候補を表明したとある女性が、大物議員と深い関係にあったことが取り沙汰されて、混乱が広がっているのです」 

 

 和歌山県選挙区は改選数1で、情勢が混沌とする激戦区。そのワケは、世耕弘成氏 vs. 二階俊博氏の“代理戦争”だ。 

 

「和歌山は自民党王国で、昨年政界を引退した二階俊博元幹事長(86)の地盤です。2月9日に二階氏の三男・二階伸康氏(47)と前・和歌山県有田市長の望月良男氏(53)が参院選の公認候補の座を巡って県連の役員による投票で争い、二階伸康氏が公認候補となることが決まった」(政治部記者) 

 

 ただ、丸く収まらなかった。 

 

「公認されなかった望月氏は、二階家の“宿敵”である世耕弘成前参院幹事長(62)に近い存在。結局その後、望月氏は無所属での出馬を表明したのです」(同前) 

 

 自民公認である二階氏の息子に、世耕氏の刺客が挑む“保守分裂”となり、そこに野党が絡む構図だ。 

 

 そんな鉄火場に、思わぬ人物が名乗りを上げた――。 

 

 自民党の公認候補者が決定した5日後の2月14日。奇しくもバレンタイン・デーに、とある女性が無所属で立候補を表明し、記者会見を開いた。 

 

 爽やかな笑顔が印象的な彼女は、地元不動産会社「三商」の社長、末吉亜矢氏(54)である。帝塚山学院大学卒、和歌山青年会議所(JC)理事長も過去には務めた女性だ。 

 

 冒頭の自民党関係者が明かす。 

 

「実は、末吉さんは、同じ和歌山の鶴保庸介・参議院議員(58)と親密な交際を続けていた。ところが最近になって破局したため、出馬は『当てつけ』ではないかと波紋を広げているのです」 

 

 

 鶴保氏といえば現在5期目で、過去には第3次安倍晋三政権で沖縄・北方担当大臣も務めた。現在、参院予算委員長の重職も担う。 

 

「今回は非改選です。政治家キャリアを通じて二階俊博氏の側近として歩んでおり、“二階氏の子分”というイメージ。二階伸康氏の陣営を支援する立場です」(前出・政治部記者) 

 

 女性関係でも政界に話題をふりまいてきた。 

 

「2001年から約5年間、野田聖子元郵政相と事実婚状態でした。その後、14年には18歳年下の別の女性と結婚しましたが、同年内にスピード離婚。元妻は離婚する前に出産しています。鶴保氏は、こと男女交際においては、政界きっての“無責任男”なのです」(同前) 

 

 その後、長らく交際・内縁関係にあったのが、今回出馬する末吉氏なのだという。甲斐甲斐しく鶴保氏に尽くしていた。 

 

「末吉さんが社長を務める会社はテナントビルなど賃貸物件を県内に100軒以上も所有しています。その一つのビルの上階に鶴保先生の事務所は入居していました。鶴保先生の高齢のご両親のお世話をしていたのも、他ならぬ末吉さんでした」(地元政界関係者) 

 

 鶴保氏が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書を確認すると、たしかに近年、鶴保氏側から末吉氏の会社に、毎月十数万円前後が家賃として支出されていた。しかし、 

 

「鶴保先生は、末吉さんが出馬表明した翌月の今年3月、事務所を市内の別のビルへと移転させました。そのタイミングも、2人の関係解消を印象づけることとなったのです」(同前) 

 

 一体なぜ、彼女は出馬まで決意したのだろうか。6月初旬、末吉氏に取材を申し込むと、ピンクのポロシャツ姿で本人が登場。後援会長を同席させつつ、和歌山市内で対面取材に応じた。 

 

――出馬を決めたのは? 

 

「政治の世界に入ることはもう10年以上前から考えておりまして。不動産業に従事してきたこれまでの経験を活かして、全国の空き家対策や所有者のいない土地に関しての法整備を進めていきたいのです」 

 

――和歌山選挙区は厳しい区ですね。 

 

「和歌山は自民党王国ですから、手ごたえはなかなか難しい。それに、様々な政党の方が出てきますので。それでも青年会議所、JCの方の力も借りて」 

 

 堂々と語り、出馬への固い決意を滲ませる。そこで、核心を訊いてみた。 

 

――鶴保議員について。 

 

「うん、うん、うん」 

 

――鶴保議員とのご関係を聞きたい。 

 

「うん、うん、うん。どうやって答えたらええんやろ? (周囲の)他の人には、『答えてくれてええよ』って言っています。でもね、私が自分から言うと角が立つでしょう?」 

 

 

 問わず語りに、末吉氏が続ける。 

 

「ただ、今回の出馬に関しては『その人』に想いがあってのものではありません。自分のタイミングでね。よく噂で『当てつけなんじゃないか?』なんて言われることがあるんですが、そんなことはなくて。たまたま選挙で敵対する形にはなってしまったけども、別に今も憎んでいるとか恨んでいるとか、そういう気持ちは正直ない」 

 

 徐々に早口になり、こころなしか赤面する。 

 

――鶴保議員のご両親のお世話もした? 

 

「お世話というか……。まあ、一緒にはいましたよね。うーん。私のことをご両親は大事にしてくれていましたよね……」 

 

――末吉さんの会社の管理物件から鶴保議員の事務所が出て行かれた。けんかしましたか? 

 

「けんかはしていないっ! けんかはしていません。1階のほうが高齢の支持者の方にとっては良いので、先生がずっと探していましたので」 

 

――今も鶴保議員と連絡を? 

 

「今は取っていないです。いろんな会議で顔を合わせることはありますけども。連絡することも特段ないんで。昨日も集まりで会いましたけども、ちゃんと、普通どおり挨拶しましたし」 

 

――鶴保議員に金銭的な支援などは? 

 

「そういうこともなく。私が何かを依頼したということもありません。仕事を頼むために一緒にいたわけではないです。本当に関係なく、応援したいなって気持ちだった」 

 

――「無償の愛」ですね。 

 

「アハハハハ〜。それを恨みには思わない。私は、楽しかったと思って。和歌山は狭いから嫌な人と思って過ごしていたらねえ。だから、そういう想いはまったくないんですよっ」 

 

 一方、鶴保氏の事務所に末吉氏との関係を尋ねたが、回答はなかった。 

 

 和歌山選挙区はさらなる激戦区になりそうだ。 

 

「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル 

 

 

 
 

IMAGE